【車屋四六】日本初GP、パブリカ独走

コラム・特集 車屋四六

日本初のGPで{メーカー参加せず}の紳士協定を守った会社、水面下で準備した会社、その準備万端組みの最たる会社がトヨタだった…それも全階級制覇狙いだった。

既にクラウンとコロナについては報告したが、今回はツーリングカー400~700cc部門で強さを見せつけた話し。
が、開戦前は、マカオやマレーシア、海外レースで優勝実績さえ持つ三菱が優勢というのが、もっぱらの下馬評だった。

三菱はファクトリー体勢で望んだ水面下組だったが、蓋を開けてみればボロ負け…レース経験がないトヨタを甘く見て、ノンビリムードのスバルと共にトヨタを念頭に置いてなかったのである。

三菱はスバルと共に自信過剰が生んだ結果での惨敗…レースは、パブリカ8台、三菱500/3台、スバル450/3台でのスタートだった。
残念だったのは斬新高性能な水冷四気筒搭載のマツダ・キャロル600が故障欠場、パブリカとの対決が見られなかったことである。

前日の予選の結果、当日スターティンググリッドに並んだ車を見て、観客の頭から下馬評で優勝の三菱500は既に消えていた。
なんと前から三列、8台全部がパブリカだったからである。

パブリカの市販車/スタンダード

レースが始まると、当然のようにパブリカ同士の競り合いになり、強化サスとワイド化されたトレッドとが相まって、コーナーでほとんどロールせず、またFWDらしいテイルの振り出しも見られず、安定した姿勢でのコーナリングを見せつけたのである。

また直線では、三菱もスバルも寄せ付けない早さと、加速の伸びを披露したものだった…最後は1・2・3フィニッシュというばかりか、それに続いて、4・5・6・7とゴールに跳び込んでくるのが全部パブリカという圧勝ぶりだったのである。

平均速度98.753㎞/32分49秒9が一位深谷文夫、0.2秒遅れて二位前川義弘、更に0.2秒遅れで三位細谷四方洋というダンゴ状のゴールだった。ちなみに細谷は後にトヨタファクトリーの長になる。

このように、一位から七位まで独占という記録は、日本グランプリ史上、いまだに破られていない記録でもある。

優勝間違いなしの下馬評だった三菱500は、デル・ソーヤー操縦の一台が8番目でゴールしたが、トップのパブリカとの差は、2分11秒も開いて…実に半周遅れという実力の差を見せつけられた。
ちなみに九位でゴールは、大久保力のスバル450。

パブリカに惨敗した三菱500