トヨタ自動車は1月30日、トヨタグループ17社が進むべき方向を示したビジョン「次の道を発明しよう」を発表した。
同ビジョンは、トヨタ産業技術記念館において、トヨタグループ17社の会長、社長、現場のリーダーが出席する中、豊田 章男会長が、創業の原点を振り返るとともに、トヨタグループが進むべき方向を示したビジョン「次の道を発明しよう」を発表。その上で、従業員一人ひとりが持つべき5つの心構え「誰かを思い、力を尽くそう。」「仲間を信じ、支えあおう。」「技を磨き、より良くしよう。」「誠実を貫き、正しくつくろう。」「対話を重ね、みんなで動こう。」を提示した。
トヨタグループは、多様なモビリティサービスを通じて、世界中のすべての人に笑顔や幸せを提供する企業グループへのモデルチェンジを目指しており、その実現に向けて、グループで働く全員が、同じ目線と価値観をもって未来に向かうためのビジョンが必要であるという豊田会長の強い意志のもと、グループビジョンの策定に至ったという。
当初は、創始者豊田 佐吉氏の誕生日である2月14日の発表を予定していたところ、昨今、グループ会社の不正が続いていることなどを勘案し、予定を早める形で本日発表された。
<豊田 章男会長のコメント>
「いま、私がやるべきことは、グループが進むべき方向を示し、次世代が迷った時に立ち戻る場所をつくること。すなわちグループとしてのビジョンを掲げることだと考えました。トヨタグループの原点は、『多くの人を幸せにするためにもっといいモノをつくること』、すなわち『発明』にあります。『次の道を発明しよう』。このビジョンのもと、一人ひとりが、自分の中にある発明の心と向き合い、誰かを思い、技を磨き、正しいモノづくりを重ねる。互いに『ありがとう』と言い合える風土を築き、未来に必要とされるトヨタグループになる。本日、私たちの原点とも言える、この産業技術記念館で、そう誓い合いました。私自身が責任者として、グループの変革をリードしてまいりますので、皆様のご支援をお願いいたします。」
トヨタグループの歴史は、豊田 佐吉氏が1890年に豊田式木製人力織機を発明し、その後豊田商店を創業したところから始まり、その根底には、佐吉氏の「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いがあったという。
同社では、誰かを思い、学び、技を磨き、モノをつくり、人を笑顔にする。この発明への情熱をグループの原点と捉え、トヨタグループでは「モノづくり、すなわち発明を通じて人を笑顔にし、社会に貢献すること」を経営の核として発展。1930年代に入ると、豊田 喜一郎氏がトヨタ自動車工業を設立し、繊維産業から自動車産業へとトヨタグループのモデルチェンジに挑戦しった。喜一郎氏は「ただ、自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で、日本に自動車工業をつくらねばならない」との想いから、部品、鉄、ゴム、電子等、今日の自動車産業の礎を築いた。
こうした歴史認識にもとづき、グループビジョン発表の最後に、豊田会長は、「先人たちの志を受け継ぎ、モビリティ事業を核にして、世界中の人々を笑顔にしていく。これから生まれてくる子供たちが、もっと自由で、もっと豊かな未来をつくっていく。トヨタグループ全員で、次の道を発明しましょう。」と語った。