日本ミシュランタイヤが本社移転完了。産官学で“世界へ”発信するビジネスにも取り組む

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2021年12月に群馬県太田市への本社移転を発表した日本ミシュランタイヤは、2023年8月1日に本社移転を完了した。旧本社であった新宿オフィスは縮小し、これまで開発拠点であった群馬県太田市に本社の機能を統合した。本社移転後は、産官学連携を図りながらさらなる価値創造を進め“群馬から世界へ”発信していく。

同社では「People(人)」「Planet(地球)」「Profit(利益)」の三つのPを柱に事業を推進する。

■Planet──環境に配慮した活動

2050年には100%持続可能なタイヤの生産に向け、革新的な企業と連携してサスティナブルな材料の開発を推進。また、タイヤすべてのライフサイクル(設計~製造~輸送~使用~リサイクル)の環境負荷低減に取り組む。

本社となった太田サイトは、環境の観点から現存する建物をそのまま生かし、社員の創造と革新の場となるコラボレーションスペースを創設。このスペースのデザイン、設計、建築は市内の企業を中心とするオール群馬の企業が手掛ける。

■People──人の共生・コラボレーション

ライフ(人生)を楽しみながらワーク(仕事)を最大化する革新的な試みとして、出社日数は本人とマネージャーの協議により決定する。出社日数を会社から指示するのではなく、社員自らが考えマネージャーと自律的で自由な働き方を決める。その実現のため、東京からのシャトルバス運行や就業時間特例等、様々な福利厚生を適用する。

群馬県内をはじめ国内の大学からインターンとして学生を受け入れる他、地域貢献や次世代育成の一助として、地域の子供達の学習支援や学校への講師派遣等のボランティア活動も積極的に進める。

■Profit──サステナブルな貢献のための利益創造

物流業界の2024年問題(ドライバーと輸送力の不足)の解決と、環境にやさしく荷主に選ばれる運送事業を目指すため、県内の物流企業(美松運送)と車両動態運行管理のトップランナー(ドコマップジャパン)、群馬大学とともに“ぐんまの輸送デジタルイノベーション”に取り組む。

2022年4月には、太田サイト内に積層造形技術の普及と発展を目的とした、金属積層造形“ミシュランAMアトリエ”を開設した。同所を活用し活動し、技術推進を図る群馬積層造形プラットフォーム(GAM)は、着実にメンバーを増やし群馬から世界に発信する革新的技術の検討も進めている。

AM:積層造形

太田サイトへの本社機能集約について、同社の須藤元社長は「コロナ禍前後で働き方や“当たり前”なことが変わり、失ってみて初めて分かった価値もある。解決すべき課題が複雑になり、一カ所に集まり面直で意見を出し合うことで発見がある。こうした価値が必要で一カ所に集まることにした」と、本社移転が単なるコスト削減のためでないことを説明。

日本ミシュランタイヤ・須藤元社長

また、新しい働き方や“至れり尽くせり”の福利厚生に関して「まだ何が正解かわからない。社員と互いに意見を出し合い、効果がなければ変え、効果があれば拡張する、やりながら学ぶ姿勢。ライフとワークをバランスさせて仕事に集中し、優れたアウトプットを目指したい」と語った。

【新拠点所在地】〒373-8668 群馬県太田市植木野町880
※新宿、名古屋のオフィス住所の変更はなし

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