【遠藤徹の業界ココに注目】国内での電気自動車化の順序

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カーボンニュートラル実現に向けて、内燃機関から電気自動車化への流れはやむを得ないのが実情である。2040年代には主役が入れ替わることが濃厚になっている。

ただ、ものには順序がある。クルマはいろいろな種類がある。大きく分けて乗用車、商用車があるが、われわれ一般人が日常愛用する乗用車(パッセンジャーモデル)にも軽自動車、登録車、登録車にも小型車、普通車などいろいろある。

電気自動車化は、まず一定の道路を走る商用車が先行するのが好都合である。充電インフラが設置しやすいからである。パッセンジャーモデルは、近距離での移動が多く価格も安い軽自動車からであろう。それぞれの車種で様々のノウハウを会得しながら、高額の乗用車への普及が進むことになるに違いない。

乗用車の中心勢力である、登録小型車への道のりは次第に険しくなるに違いない。航続距離が1000㎞域に達しないと、ファーストカーとしての地位を内燃機関から奪うことはできないだろう。

航続距離の延長は、バッテリーの改良で対応できるのは技術的に可能だが、大幅なコストアップを伴う。国や自治体の補助でカバーしているが、普及するにしたがって、予算に限界があるから、将来的には当てにすることはできなくなるに違いない。

グローバルで量産が可能になればコストは下がるが、内燃機関を下回るのは無理となる。国内で理想的なカーボンニュートラル実現は電気自動車だけに頼るのではなく、内燃機関の新燃料の採用による技術開発も合わせて普及させる道を選ぶのがベストといえそうだ。その方が日本のクルマが生き残れる可能性があることを指摘したい。

(遠藤 徹)

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