ホンダは4月26日、電動化を含む企業変革に向けた取り組みについて説明会を開催し、2025年に「N-ONE」ベースのEV、2026年にSUVタイプを含む小型EV2機種を発売すると発表した。
【モビリティを進化するための5つのキーファクト】
事業体質の強化を行うとともに、5つをモビリティを進化させるためのキーファクターと定め、力を入れていくとしている。
- パワーユニットのカーボンニュートラル化
- パワーユニットをエネルギー源として活用するためのエネルギーマネジメントシステム
- リソースサーキュレーション
- AD(自動運転)・ADAS(先進運転支援システム)
- IoT(Internet of Things)・コネクテッド
【事業体質の強化】
<収益体質の改善>
四輪事業では、ホンダアーキテクチャーや一括企画の導入、グローバルモデルの派生数削減、生産能力の適性化などを実行し、2022年度の固定費は、2018年度と比較して10%以上削減し、また生産能力を基準とした2022年度の損益分岐点は約80%と、2018年度の約90%から大きく改善した。
さらに、強固な収益体質を確立している二輪事業の貢献もあり、厳しい事業環境の中にあっても十分な水準のフリーキャッシュフローを確保できており、今後、着実に四輪販売台数を回復させ、2025年度の全社経営目標である、売上高営業利益率(ROS)7%達成を目指すとしている。
<半導体不足への対応>
- 短期的な取り組み:取引先との関係を強化するとともに、部品のデュアルソース化や、代替品の開発を実施。
- 中長期的な取り組み:リスクセンシングを強化するとともに、TSMCとの戦略的協業をはじめ半導体メーカーとの協力関係を構築、連携を強化することにより、半導体の安定調達を目指す。
【電動事業の方向性】
2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%とする。2030年までにグローバルでEVの年間生産200万台超を計画。
<北米>
- 2024年にゼネラルモーターズ(GM)との共同開発モデルである「PROLOGUE(プロローグ)」をホンダから、「ZDX」をAcuraからそれぞれ発売。
- 2025年にホンダ独自のEV専用プラットフォームをベースとした、新たなE&Eアーキテクチャーを採用した中大型EVを発売。
<中国>
- 「e:NS2」「e:NP2」を2024年初頭に発売。
- 今月、上海モーターショーで公開したコンセプトモデル「e:N SUV 序」をベースとした量産モデルを2024年中に発売。
- 上記3モデルを含め、2027年までに10機種のEVを投入。
- 他地域に先駆け、2035年までにEV販売比率を100%とする。
<日本>
- 2024年前半に「N-VAN」ベースの軽商用EVを発売。
- 2025年には「N-ONE」ベースのEV、2026年にはSUVタイプを含む小型EV2機種を発売。
<充電サービス>
- 家庭用充電:北米で展開しているEV向け充電サービス「Honda Smart Charge」をベースとし、EVの電力供給能力を活用したエネルギー事業を順次展開予定。
- 公共充電:利便性・信頼性の高い充電ネットワークと連携し、充電サービスの利用環境を整えていく。
【着実な電動化に向けた取り組み】
バッテリー・資源の調達から、リソースサーキュレーションに至るまで、さまざまなパートナーと戦略的パートナーシップを結び、ホンダをハブとした強固なバリューチェーンを構築して、サステナブルな事業基盤を整えていく。
【ソフトウェア領域の強化】
2025年に北米で投入する中大型EVからの採用を目指して、E&Eアーキテクチャーをさらに進化させるとともに、ホンダ独自のビークルOSの開発を推進。同ビークルOSを基盤として、車載ソフトウェアを常に進化させることで、車両販売後も機能やサービスを進化する。
また、車載OSや、AD・ADAS、コネクテッド領域における、ソフトウェアの独自開発に向けて、従来の採用数を倍増させたうえで、高度ソフトウェア開発人材の採用をさらに強化するほか、KPITテクノロジーズをはじめとした、ソフトウェア開発に強みをもつパートナーとの提携を加速し、ホンダの強みである制御技術や安全技術と、パートナーの強みであるソフトウェア開発力を組み合わせ、ソフトウェアがもたらす新たな価値の実現を目指す。
なお、UX・デジタルサービス領域においてはグローバルUXオフィサーを新たに設置するとともに、デジタルエキスパートを積極的に採用することで、北米を中心に開発を強化する。
【GMとのアライアンス強化】
ゼネラルモーターズ(GM)とのアライアンスを今後より一層強化し、2027年以降に投入する量販価格帯EVの共同開発に加え、電動コア部品などにおける両社の持つ強みを掛け合わせ、競争力を高めるための幅広い検討を継続していく。
【新たな価値の創造】
知能化、バッテリー進化、水素活用、サステナブルマテリアルなど5つのキーファクターに関連するカーボンニュートラル技術を中心とした基礎研究領域に、年間1,000億円レベルの研究予算を安定的に確保し、研究を推進。
また、年間100億円レベルの出資枠を用意し、スタートアップとのオープンイノベーションを積極的に展開しており、これまでにAIや合成燃料、電池のリサイクル、核融合発電など、将来必要となる可能性が高い先端技術のスタートアップに出資。
さらに、コーポレート戦略との密接な連携により、オープンイノベーションの機能を一層強化するため、オープンイノベーション活動のグローバル本社機能として、ホンダ・イノベーションズ株式会社を今月、日本に設立した。