【遠藤徹の業界ココに注目】電気自動車に対する販売店各社の本音

all 電動車コラム 業界ニュース コラム・特集

内燃機関(エンジン)から電気自動車(EV)へのシフトは、世界的レベルで加速しているように思える。しかしながら国内需要の動向を見ると、同時にまだまだ歩みは遅いことを肌で感じる。それはユーザーの動きと販売店各社の受け止め方にかかっている側面もある。

実際の販売現場で明らかにマーケットニーズが感じられるのは、今のところ日産・サクラ、三菱・eKクロスEVなどの軽自動車のみである。2023年度を起点にホンダ、スズキ、ダイハツの各社が、軽自動車の商用車や乗用車で新型車を投入する計画があるので、以降は同マーケットが急速に拡大して行くに違いない。

サクラとeKクロスEVが好調に売れているのはなぜか。満充電後の航続距離は200㎞、実走行では150㎞程度と短いが、家庭用の100ボルト電源でも十分に対応が可能で、近距離での買い物、用足し走行なら十分である。

車両本体価格は350万円以上と高いが、国や地方自治体の補助金でカバーすれば、ガソリン車に比べて、50万円以内の負担増で購入できる。残価設定クレジットを組めばさらに安くなる。電気代が一度の充電で10円単位と安く、車検や定期点検のランニングコストも安いので、購入費のプラス分はすぐに回収できるメリットがある。

これが小型車以上の登録車になるとそうはいかない。500㎞以上の走行距離のケースはざらにあるので、常に充電インフラを気にしていないと安心してハンドルを握っていられない。車両本体価格もガソリン車の2倍はかかるし、ランニングコストも高い。補助金があるものの、今後販売台数が急速に増加すれば国や地方自治体の予算もカットせざるを得なくなるであろう。電力需給ひっ迫の課題も克服しなければならない。

(遠藤 徹)

Tagged