【遠藤徹の業界ココに注目】コロナ禍による納期遅れの対応策が多様化

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長引くコロナ禍により半導体を中心としたサプライヤーからの部品供給が遅れ、成約した新車の納期がさらに先送り状態となっている。需要は旺盛のため、自動車メーカーは人気量販モデルの多くをオーダーストップ措置で対応している。直接大きな影響を受けているのはディーラーやユーザーである。

ディーラーは新車を売ってナンバーを取得し、ユーザーの元に納車しないと収益にならないので頭を抱えている。当面の対応策として行っているのは中古車の販売、部品用品販売、サービス売上の強化、保険商品の販売促進などである。中古車はこれまで多くがディーラーの中古車部や専業店の手にゆだねられてきた。

それが最近は新車ディーラーの敷地内に、中古車展示場を設置して販売する店舗が増えている。来店客に対しては「新車にしますか? それとも中古車ですか?」といった問いかけをして、どちらでも売れる体制であることをアピールしている。ニーズが拡大しているので、中古車価格は大幅にアップし、品不足状態が加速している。特に50万円前後の低年式車と200万円以上の高年式車が値上がりしている。

ユーザーへのアピールも従来とは違った呼びかけが行われている。「今、中古車価格が跳ね上がっているので、愛車を手放すのはチャンスです」といった言い回しで、代替えを呼び掛けたりしている。新車の納期が先送り状態なので、低年式から高年式中古車への代替えで収益を少しでもカバーしようというわけである。新車を成約したら既納ユーザーに対しては、優先的に納期を提示できるために、20~30万円の前金を徴収し、収益の足しにしようとの試みも行われている。

(遠藤 徹)

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