アウディ、車両周囲の粒子状物質を除去する電気自動車用微粒子フィルターを開発

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アウディは10月14日(独現地時間)、サプライヤーのMANN+HUMMELと協力して、車両周囲の粒子状物質を除去する電気自動車用微粒子フィルター、Audi Urban Purifier(アウディ アーバン ピュリファイアー)を開発するパイロットプロジェクトを立ち上げたと発表した。初期の試験段階では、走行および充電時の両方で、都市の空気の質の改善に貢献したとしている。

車両の駆動システムに関係なく、車両が走行することによって発生する細かい粉塵の85%は、ブレーキ、タイヤ、道路の摩耗などに起因するもので、肉眼ではほとんど見ることができないこれらの微小な粉塵粒子は、サイズがわずか数マイクロメートル、直径わずか10マイクロメートルであるため、呼吸とともに体内へと簡単に吸い込まれる結果となる。昨年世界保健機関(WHO)は、粒子状物質の上限を、以前よりも大幅に引き下げるべきであるとの勧告を発令したが、専門家は、ドイツの多くの都市で、これらの新しい数値を遵守することは不可能であると指摘しているという。

アウディは持続可能性を事業活動の中心に据え、車両の生産をネットカーボンニュートラル(CO2排出量「ネット ゼロ」) なものにして、可能な限りエミッション(排出物)を削減するように努めており、今回、サプライヤーのMANN+HUMMELと協力して、車両の周囲から粒子状物質を集めるフィルターを開発。車両のフロントに装着されるフィルターは、一部の都市ですでに使用されている固定式のフィルターシステムと同様に機能し、Audi e-tronなど車両自らが発生した粒子状物質だけではなく、周囲の車両が発生したものも、その場で吸収するとしている。

パイロットプロジェクトは、すでに2020年から開始され、4年間の実施を予定。フィルターは、既存のラジエーターの前方に設置するため、車両にわずかな変更を加えるだけで装着することが可能なためコストを抑えることができるほか、フィルターエレメントは、開閉式の冷却用エアインレットを介して制御され、機械的には掃除機と同様の機能を備えているという。

テスト車両で行われた評価では、フィルターの有効性を分析するだけでなく、このシステムが車両全般の使用にどのような影響を与えるかについても確認が行われ、Audi e-tronで5万kmを超える耐久テストを行った結果、夏の暑い日や急速充電時を含め、電気自動車の作動に悪影響を与えないことが判明。使用条件によっては、シュトゥットガルトのように粒子が特に多い都市で、Audi e-tronから排出される粒子が完全に除去されたほか、北京などさらに粒子の汚染度が高い都市では、一般的な利用状況において、最大3台分の細塵排出物を能動的および受動的に除去できる可能性があると述べている。

アウディはシステムをさらに効率的にするためにMANN+HUMMELと協力して、気象観測所などに設置されているセンサーと接続する作業を実施するほか、フィルターにより除去された微粒子の量を表示するシステムの開発にも取り組んでいる。

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