キャンプサイトに駐車するハイエースバンコン

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ボディサイズで使い勝手が変わる! ハイエースバンコンのバリエーション紹介

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:岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家)

バンコンのベース車両として不動の人気を誇るのが、トヨタ・ハイエースだ。ひと口にハイエースといっても様々なバリエーションが存在しており、ボディサイズによってキャンピングカーの性格や使い勝手は大きく異なる。

ここでは、ハイエースの種類(標準ボディ、ワイドミドル、スーパーロング)と、ベース車両としてのメリット・デメリットを徹底解説。現在バンコン購入を検討している人は、必見だ!

名古屋キャンピングカーフェアに出展されるバンコン

各地で開催されるショーでは常に最大展示数となるハイエースのバンコン

ベース車の一番人気はハイエース

日本RV協会が調査を開始した2005年から現在まで、キャンピングカーの国内保有台数は右肩上がりで増加し続けており、2021年には過去最高の13万6000台に達した。とくにここ数年は、コロナ禍でリモートワークが定着したことや、プライベート空間ごと移動できるキャンピングカーの優位性が幅広い層に認知されたことで、その需要はますます拡大している。

種類別に見ると、もっとも人気が高いのはバンコンで、昨年国内で生産されたキャンピングカー全体の37.2%を占めている。なかでも、バンコンのベース車両として不動の人気を誇っているのが、トヨタ・ハイエース。機動性と空間効率に優れたワンボックス型ボディ、日常使いにも対応できるスタイリッシュなデザイン、普通乗用車と同等の充実装備などが、人気の理由だ。

ハイエースには様々なバリエーションが存在しており、どのボディサイズをベースに選ぶかでバンコンの性格や使い勝手は大きく変わる。ここでは、バンコンの購入を検討している人に向けて、バンコンベース車両のメインストリーム「ハイエース」のサイズバリエーションと、それぞれの使い勝手について解説する。

キャンプ場に駐車するハイエースバンコン

休日のレジャー施設でも多く見られるようになったバンコン

普段乗りも快適
「標準ボディ」

街中でもっともよく見かけるハイエースが、標準ボディ・ロールーフだ。箱型形状で全高が高いためスペック以上に大きく見えるが、ボディは全長4695×全幅1695×全高1980mmのいわゆる「5ナンバーサイズ」。ボンネットの張り出しがなく運転席のアイポイントが高いため、慣れれば想像以上に運転しやすく、初心者や女性、年配ドライバーでも安心して乗り回せる。

レクヴィが出展した標準ボディタイプのバンコン

日常使いも想定した標準ボディ・標準ルーフのバンコン(レクヴィ・ホビクルオーバーランダーIV)

ワイドボディに比べると室内空間は狭くなるが、最大のメリットは優れた機動性。工具や資材を満載して様々な現場を駆け回る“職人の仕事グルマ”として多く使われていることからもわかる通り、狭い道でもスイスイ走れて、混雑した駐車場にも止めやすいのが最大のメリットだ。このボディサイズなら、平日は通勤や買い物、子どもの送迎などの普段乗り、休日はレジャーカーといったように、マルチな用途で活用できる。

かーいんてりあ高橋のリラックスワゴン

ナローボディでもレイアウト次第では開放感ある室内に(かーいんてりあ高橋・リラックスワゴン インフィニティ)

標準ボディにはハイルーフも用意されているので、居住性重視ならハイルーフを選べばより快適な居住空間を実現することも可能だ。また、ロールーフベースのバンコンの場合、これまでは小型貨物車の4ナンバー登録が一般的だったが、今年4月の構造要件緩和によって標準ボディ・ロールーフでも8ナンバーのキャンピング車登録が容易になり、さらにキャンピングカーとしての魅力が向上した。「1台で普段使いから遊びまでストレスなく乗り回したい」というユーザーには、最適なモデルと言えるだろう。

ケイワークスの新型ラギットバン カントリー

ポップアップルーフ採用すモデルは高さ方向にも空間を確保(ケイワークス・ラギットバン カントリー)

大型ミニバンと同サイズ
「ワイドミドル」

ハイエースのボディバリエーションの中間サイズにあたるのが、ワイド・ロングボディにミドルルーフを組み合わせたワイドミドルと呼ばれるモデルだ。全幅が1880mmと幅広で全高も高いため、一見するとかなり大きいクルマという印象を受けるが、ボディサイズは全長4840×全幅1880×全高2105mmで、3ナンバーのミニバンとほぼ同等となる。

ホワイトハイウスのコンパス

ポップアップルーフを備え付けたワイドミドルモデル(ホワイトハウス・コンパス)

ちなみに、トヨタ・アルファードが全長4945×全幅1850×全高1950mmなので、それより全高は高くなるが、全幅はほぼ同等で、全長は10cmほど短い計算となる。決してコンパクトとは言えないが、このサイズならファーストカーとして乗り回すことは十分可能。3ナンバーミニバンと同様の感覚で運転でき、高さ制限のある自走式立体駐車場にも問題なく入庫できる。

トヨタ・アルファード外観

ワイドミドルの全幅は「アルファード」と同等サイズ

標準ボディと比べると全長で14.5cm、全幅で18.5cmも大きいため、室内空間に余裕があり、レイアウトにもよるが小さな子どものいる4人くらいまでの家族なら、ファミリーカーとしてもキャンピングカーとしても快適に利用できる。バンコンのベース車両として、もっとも機動性と居住性のバランスがとれた万能モデルだ。

ケイワークスの新型オーロラEXアーチザン

フル装備でハイクラスの内装を持つバンコンも登場している(ケイワークス・アーチザン)

居住性はシリーズ最強
「スーパーロング」

ハイエースのバリエーションの中で最大サイズを誇るのが、巨大なボディにハイルーフを組み合わせたスーパーロングだ。全長5380×全幅1880×全高2285mmのボディサイズは、国産車では最大級。クルマと居住空間が一体となったキャンピングカー(バンコン)のベース車として、もっともポピュラーなモデルとなっている。

スーパーロングの魅力は、広大な室内空間だ。ワイドミドルと比較しても全長が54cm長く、ベッドやキッチン、収納といったキャンピングカーの装備をよりゆったりとレイアウトできる。全高に至っては、標準ボディ・ロールーフより30.5cmも高く、ワイドミドルと比べても18cmの余裕がある。大きなボディサイズによる広々とした居住空間と、車内で立って生活できる室内高を同時に実現できるのが、スーパーロングのメリットだ。

ナッツRVのリーク2

リビングとベッドの両立などセパレートの室内が可能なのもスーパーロングの魅力(ナッツRV・リークII)

居住性の点では標準ボディやワイドミドルを圧倒するが、機動性と居住性はトレードオフの関係。スーパーロングのボディの大きさは、居住性では大きなアドバンテージとなるが、機動性においてはデメリットになる。全長が5mを大きく超えているので、保管する駐車場によっては車庫証明が取れないケースもあり、出先で駐車場探しに困ることもある。ホイールベースが長く小回りが利かないため、狭い道の走行や車庫入れで気を使うこともあるだろう。

ファーストカーとして使用することも不可能ではないが、それなりの運転技術が必要になり、標準ボディやワイドミドルのようにストレスフリーとはいかない。しかし、そうしたデメリットを差し引いても、スーパーロングの広大な室内空間は、何にも代えがたい大きなメリット。居住性を重視するユーザーにとって、魅力的なモデルであることは間違いない。

トイファクトリー のGT

スーパーロングの魅力である室内の広さ。マルチルームを併設しているモデルもある(トイファクトリー ・GT)

バンコンの性格や使い勝手は、ベース車両によって大きく変化する。自分がキャンピングカーをどう使うかを整理して、ニーズに合ったボディサイズをセレクトするのがポイントだ。

キャンプ場に並ぶハイエースのバンコン

幅も高さも異なるボディタイプを数多く揃えるからこそ、バンコンのベース車として最適なハイエース


プロフィール

岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家/ライター/HOT MIND代表)
1971年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業・ 8年間の出版社勤務を経て2003年3月に独立。同年4月より、編集工房『HOT MIND』代表として編集業務の請負を開始。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に様々なジャンルの雑誌・ムック製作に携わる。取材・インタビュー経験は3000件以上。座右の銘は、『商人ではなく、常に最前線に立つ職人であれ!』。

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