バンコンのキャンプ風景

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平日は足グルマ、休日はレジャーカー! ファーストカーとして使えるキャンピングカーの魅力

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文・写真:岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家)

多彩なバリエーションも魅力

キャンピングカーと聞くと、「高額」「普段使いできない」といったイメージを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。確かに、海外のクラスA(フルコン)には家が建てられるレベルの高額車両も存在するし、いまや国産キャブコンでも1000万円を超えるモデルは珍しくなくなった。

しかし、ひと口にキャンピングカーと言っても、ボディサイズが大きなものから小さなもの、装備が豪華なものからシンプルなもの、価格が高額なものから安価なものまで、そのバリエーションは多種多様。乗り手のニーズにピッタリの車両を選べる、多彩なバリエーションがそろっていること。それが、キャンピングカーの大きな魅力のひとつだ。

ナッツRVのショーブース

多彩なバリエーションが出揃う東京キャンピングカーショー2022の風景(写真はナッツRV)

豪華な生活装備を備えた大型キャンピングカーは魅力的だが、車両価格が高額であること、普段乗り用に別のクルマが必要になることなど、購入のためにクリアしなくてはいけない条件も多い。現実的には、「1台で普段乗りにもレジャーにも使えて、できるだけ安価なモデルが欲しい」というユーザーが大半を占めるだろう。そこで今回は、比較的安価に購入できて、平日は足グルマ、休日はレジャーカーとしてマルチに使えるキャンピングカーにスポットを当ててみた。

バンテック新潟のショーブース

2WEYの活用を前提に開発されたキャンピングカーも多い(写真はバンテック新潟)

軽自動車ベースの「軽キャンパー」

ファーストカーとして使用できるキャンピングカーの筆頭は、もっともサイズがコンパクトな「軽キャンパー」だ。このカテゴリーは、ネーミング通り「軽自動車をベースに架装したキャンピングカー」のことを指す。軽バン・軽ワゴンをベースにしたバンコンタイプや、軽トラックの荷台部分に居住スペースを構築したキャブコンタイプなどがあり、どれも共通のアドバンテージを有している。

軽キャンパーのショーブース

「東京キャンピングカーショー2022」でも数多くの軽キャンパーが出展されていた(写真はラクネル)

第一のメリットは、軽自動車ベースのため車両価格が安価であること。軽バンコンは200万円台から購入でき、軽キャブコンでも普通車クラスのキャブコンと比べれば、車両価格は圧倒的に安い。さらに、軽自動車登録の車両なら(ボディサイズの拡大で普通車8ナンバー登録の車両も存在する)、高速道路料金、車検・メンテナンス費用、税金・保険などの維持費も割安。ほかのカテゴリーのキャンピングカーと比べて、コスト面のアドバンテージはかなり大きい。

コンパクトサイズならではの優れた機動力も、軽キャンパーの大きなメリットだ。運転が苦手な人でも安心してドライブでき、狭い道や混雑した駐車場もノーストレス。軽バンコンなら普通の軽自動車感覚でどこでも気軽に乗り回すことができ、軽キャブコンでも全高だけ注意すればファーストカーとして十分使える。

岡モータースのショーブース

アイデアと架装技術により、広い就寝スペースを持つ軽キャンも多い(写真は岡モータース)

様々な用途に対応する「バンコン」

商用バンやワゴン、ミニバンをベースにした「バンコン(バン・コンバージョン)」は、日本のキャンピングカー市場でもっとも高い人気を誇るカテゴリーだ。多くの人に選ばれる理由は、普段使いからレジャーまでマルチに使えるキャンピングカーであること。平日は通勤や買い物、子どもの送迎などで乗り回せ、休日はレジャーカーとしてクルマ旅やアウトドアを存分に楽しめる。

トイファクトリー のショーブース

都市部での活用にも優れるバンコン(写真はトイファクトリー)

サイズがコンパクトで機動性に優れているのはもちろん、見た目が普通車と変わらず悪目立ちしないことも、普段使いにおいて大きなメリットだ。比較的重量が軽く、ボディ自体に大幅な加工が施されていないため、走行性能や乗り心地にも優れている。そうした優位性を武器に「ファーストカーとして使える」ことがバンコンの最大の魅力だが、ベース車両のボディサイズによって使い勝手は多少変化する。

ホワイトハウスのショーブース

ミニバンをベースに架装したり、ベッドキットを取り付けたりするキャンパーも年々出展数が増えている(写真はホワイトハウス)

小型商用バンやミニバンをベースにしたバンコンは、どんなシチュエーションでも気軽に運転できて普段使いでもストレスを感じることはないが、注意したいのはハイエースのボディサイズだ。

「標準ボディ」は5ナンバーのミニバンとほぼ同じサイズなので、足グルマとして問題なく使用できる。

ダイレクトカーズのショーブース

標準ルーフ仕様なら立体駐車場も利用できる(写真はダイレクトカーズ )

「ワイドミドル」は3ナンバーの大型ミニバンとほぼ同じサイズなので、多少大きさが気になることがあっても普段使いは十分可能だ。「スーパーロング」はボディサイズが国産車最大級の全長5380mmmで、取り回し性は前者の2台と比べて大きく劣る。全高が高く自走式立体駐車場に入庫できないケースもあるため、ファーストカーとして使用する際は多少ストレスを感じることもありそうだ。

マルチに使えるバンコンとは言え、ベース車両によって性格は異なる。使い方を徹底的にシミュレーションして、自分のライフスタイルに合ったボディサイズを選びたい。

レクビィのショーブース

救急車のベース車両でもあるスーパーハイルーフを架装したモデルもある。大人が立って歩ける室内は魅力(写真はレクビィ)

都市型キャンパー「ポップアップ・バンコン」

ファーストカーとして使えるキャンピングカーとして外せないのが、屋根が大きく開くポップアップルーフを搭載したバンコンだ。都市部でファーストカーとして使用する場合、全高制限付きの自走式立体駐車場に入庫できることがマストとなる。ルーフを開閉式にすることで、自走式立体駐車場にも入れる低い全高と開放的な居住空間を両立させたのが、ポップアップルーフ・バンコンの最大のポイントだ。

日産ピーズフィールドクラフト

ミニバンの室内空間を高さ方向に拡大するポップアップルーフ(写真は日産ピーズフィールドクラフト)

ルーフを閉めれば普通車と同じ感覚で気軽に乗り回すことができ、ルーフをオープンすればキャンピングカーとして快適に使用できる。1台で2WAYの使い方ができるポップアップルーフ仕様のバンコンは、「都市部でファーストカーとして使いたい」というユーザーにピッタリ。普段使いも快適にこなせ、ルーフベッドで大人数分の就寝定員も確保でき、開放的な居住空間でファミリーユースにも対応する、マルチパーパスなキャンピングカーだ。

ケイワークスのショーブース

ポップアップルーフは就寝スペースとしても利用できる(写真はケイワークス)


プロフィール

岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家/ライター/HOT MIND代表)
1971年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業・ 8年間の出版社勤務を経て2003年3月に独立。同年4月より、編集工房『HOT MIND』代表として編集業務の請負を開始。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に様々なジャンルの雑誌・ムック製作に携わる。取材・インタビュー経験は3000件以上。座右の銘は、『商人ではなく、常に最前線に立つ職人であれ!』。

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