【エコツアーに行こう！】観音崎自然博物館（神奈川県横須賀市） -

東京湾に残された貴重な自然海岸に学ぶ

眼の前の浦賀水道に、貨物船やフェリー、タンカーなどさまざまな船が行き交っている。その先に広がるのは意外なほど近い房総半島。東京湾の入口に位置する観音崎は、海上交通の要衝として日本初の洋式灯台が設置された場所だ。首都圏からは日帰りの観光スポットとして知られているだけに、訪れた人も多いだろう。

この観音崎の南側、海沿いに位置しているのが観音崎自然博物館。館内には周辺の自然史や東京湾の海の生物に関する展示があり、タッチプールではウニや磯の魚、ヒトデやナマコ、時にはタコまでも手で触ってみることができる。

もっとも、展示施設自体はそれほど大きいものではない。より注目なのはこのエリアの自然環境だ。観音崎周辺は明治時代に軍用地になってから敗戦まで民間人の立ち入りが制限されていたこともあり、東京湾内ではほとんどなくなってしまった自然海岸と、そこに続く照葉樹林の森が残されていて、全体が自然公園として守られているのだ。

博物館のすぐ下にあるたたら浜に降りてみれば、東京湾と思えないほどの澄み切った水に気がつくだろう。砂浜には緑色のテープのようなアマモの切れはしが打ち上げられているかもしれない。魚やイカなどの産卵場所であり、きれいな海の象徴とも言えるアマモ場がこの近くに広がっているのだ。また、ここには東京湾内ではほとんど見られなくなったウミホタルが生息していることでも知られている。

砂浜で海水浴を楽しんだり、すぐ近くにある磯で生き物を探すだけでも楽しいけれど、できれば自然博物館で開催されているイベントに参加してみよう。特に夏休み期間中は数多くのイベントが予定されている。

色鮮やかなウミウシが観察できる磯の生物観察会、泊まりで水生生物を調査する水生生物調査キャンプ、幻想的な青い光を放つウミホタルの観察会など、その舞台は観音崎周辺に限らず、三浦半島の西海岸や、東京湾の対岸、房総半島にまで及んでいる。どれに参加しても、個人では見つけられない生き物たちの世界が観察できるはずだ。

夏休みのイベントは人気が高いため、すでにキャンセル待ちになっているものが多い。参加申込みは2カ月前からなので、今後のスケジュールを見て早めに応募を。三浦半島方面は海水浴の渋滞が避けられないけれど、夜に開催されるイベントも多数。いっそそのほうが帰りは渋滞を避けてスムーズに走れるかもしれない。

（上田泰久）

【問い合わせ】神奈川県横須賀市鴨居4丁目1120／☎046-841-1533
【開館時間】9時～17時（入館は16時30分まで）
【休館日】月曜日休館（祝祭日の場合は翌日、また7・8月は無休）
【入館料】大人500円、小中学生300円、幼児（4歳以上）100円
【アクセス】横浜横須賀道路・馬堀海岸ICより国道16号線で約10分
【ホームページ】https://kannonzaki-nature-museum.jimdofree.com