【遠藤徹の業界ココに注目】2022年度の国内新車需要を予想する

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今日から2022年度がスタートしたが、現在はロシアのウクライナ侵攻が国内新車需要に大きな影響を与えかねない状況にある。コロナ禍は、サプライヤーからの半導体を中心とした部品供給の滞りで成約車の納期が大幅に遅れているが、ウクライナ情勢の動向がこれに拍車をかけるおそれが生じつつある。これによって納期がさらに先送りされそうな趨勢になっているのである。

新車需要そのものは旺盛でSUV、ミニバン、コンパクトハッチを中心に多数のバックオーダーを抱えているが、生産が滞りがちになっているため、納期は3カ月~半年以上にずれ込んでいる量産モデルが多い。今年8月に騒音低減などに対する法規制の強化があり、これに合わせた一部改良を行うため、一時オーダーストップしているモデルも目に付く。納期遅れで多数のバックオーダーを抱えているモデルはこの分を生産し納車するので、オーダーストップによる登録&届出台数への影響は軽微という読みもある。

これまで、需要そのものは旺盛だが、納期遅れによって登録や届出台数は前年を下回り、実際の需要と販売実績(ナンバー取得ベース)との間の乖離が顕著になっていた。こうした状況は2022年度の前半も続くことが予想される。新年度は前年度並みかそれ以上に、各社の相次ぐニューモデル投入によって新車の増販機運が盛り上がる方向にあるが、納期遅れはこの流れに水を差すことも考えられる。メーカーによっては新型車の投入そのものを先送りせざるを得ないケースもある。

新車の納期遅れはすぐに必要な新社会人、新年度に向けての転勤族にとっては痛手である。やむを得ず新車の購入を諦めて中古車を購入するユーザーも多くなっている。

(遠藤 徹)

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