【河村康彦 試乗チェック】マツダ・ロードスター 990S 軽快な走りはシリーズ内で突出

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紛れもなく日本が誇るべき1台

クルマの話題となると、どうしても“電動化”ばかりに目が行きがちな昨今。しかし、そうした中にあっても好事家の心を捉えて離さないのがスポーツカーという存在。時節柄もあって、世界からはそうしたモデルが次々と姿を消しつつある中で、実はまだまだ「捨てたものではない」と思えるのが、日本メーカー発の作品たちだ。

時節柄、マツダ・ロードスターはひときわ光る存在

比較的コンパクトで値段も手ごろと言えるモデルが見つけづらくなってきている中、キラリと光る存在感を示しているのがマツダのロードスター。実際、現行型の登場は2015年5月と最新のモデルとは言えないにも関わらず、「2020年の後半以降は前年同期の販売台数を超えている」と、最近は当のマツダでもその理由が明確には把握出来ないながら好調なセールスを記録中しているという。

そんな折に届いたのが、商品改良の報。中でも注目を集めているのが『990S』と名付けられた特別仕様車の内容だ。実は、コンパクトなボディサイズと共に軽量設計ぶりでも知られたのが現行モデル。そして、先に紹介の特別仕様車の名称は、990㎏というその車両重量に由来をしたものなのである。

装備類も軽量化を図った

そもそも軽量なシリーズ中でも、ひと際軽い“1トン切り”の実現のため、設定されたトランスミッションはMTのみ。センターディスプレイは他グレードのように専用のSDカードをプラスしても、ナビゲーション機能は持たないモノクロ表示の小型液晶式へと簡略化され、ボディ下部のブレースやスタビライザーバーは省略されてLSDの設定も無し…といった具合。それゆえに、一見では軽量化に名を借りた廉価版とも解釈をされてしまうかも知れない。

鍛造の軽量ホイール+ブレンボ製対向4ピストン・ブレーキ

ところが、いざ乗ってみると走りの軽やかさはシリーズ内でも飛びぬけていて、乗り心地までが最も優れて感じられるのだから、クルマはスペックでは分からない。実は、前述のように一部では省略したアイテムも存在する一方で、鍛造の軽量ホイールやブレンボ製の対向4ピストン・ブレーキを専用のチューニングが施されたサスペンションと共に標準採用とするなど、走りに関するアイテムを充実させた部分もあるのがこのモデルであるのだ。

KPC=キネマティック・ポスチャー・コントロールの作動イメージ

また、そんな990Sはもとよりシリーズ全車に採用された”KPC”と名付けられた新機能も見どころ。そもそものリヤサスペンションがブレーキ作動時にアンチリフト力を発することに注目し、旋回時の内輪にごくわずかなブレーキ力を働かすことでボディ内側の”浮き”挙動を抑制するというこのメカの採用は、確かにより安定した旋回姿勢を生み出してくれることを実感することができた。

乗るたびに新たな感動を味わわせてくれるマツダのロードスター。それは紛れもなく日本が誇るべき1台と言える存在だ。

(河村 康彦)

(車両本体価格:289万3000円)

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