横浜ゴムと日本ゼオン株式会社は2月21日、両社が実施する「炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品製造技術の開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」として採択されたと発表した。
グリーンイノベーション基金事業は、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国が掲げた目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度で、この目標に経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する。
現在、日本における使用済タイヤの多くは、サーマルリカバリー(熱回収)により燃料として有効利用されているほか、今後も世界的なタイヤ需要の増加に伴い、石油由来の合成ゴム等の原材料の使用量も増加することが見込まれている。同実証事業では、使用済タイヤやバイオマスなどの再生可能炭素資源から、炭素資源循環型の合成ゴム基幹化学品であるブタジエン、イソプレンを高い収率で製造する、2つの高度な技術を確立し、2030年代に社会実装することを目指しており、タイヤ・ゴム産業における資源循環性の向上、カーボンニュートラル化に貢献するとしている。
【実証事業で実施する研究開発項目の提案企業と概要】
①エタノールからの高効率ブタジエン合成
- 提案企業:日本ゼオン、横浜ゴム
- 再委託・共同実施先:国立研究開発法人 産業技術総合研究所
- 概要:使用済タイヤや植物原料由来などのエタノールをブタジエンへ高効率に変換する技術を開発。2030年までにパイロット設備を用いて社会実装のための技術を確立し、2034年に事業化を目指す。
②植物資源からのブタジエン、イソプレン製造
- 提案企業:日本ゼオン、横浜ゴム
- 再委託・共同実施先:国立大学法人 東京工業大学、国立研究開発法人 理化学研究所
- 概要:ゴム・タイヤリサイクル循環における合成ゴム基幹化学品を補完するため、植物原料からブタジエンとイソプレンを直接生産するバイオ技術を開発。2035年に事業化を目指す。
横浜ゴム、日本ゼオンは、両社が培ってきた技術やノウハウを融合し、タイヤに関わるこれらの産業のカーボンニュートラル化、および持続可能な社会の実現へ貢献する。