【遠藤徹の業界ココに注目】電気自動車一遍倒の流れに疑問

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最近、自動車メーカーが2040年までにグローバル規模で内燃機関をやめ、電気自動車のみに切り替える方向で開発を進めている。カーボンニュートラルによって、地球温暖化を食い止めようとの基本的スタンスは正しいといえるが、全自動車メーカーや新たに電気自動車に進出する企業が、こちら一遍倒になるのはあまりにもリスクが大きいように思える。

内燃機関のノウハウを活用しながら、カーボンニュートラルを達成する方策があることも研究する必要がある。例えば燃やす燃料をガソリンや軽油ではなく、水素、アルコール、メタンなどの代替燃料に切り替える手法も研究開発の材料にする手もあるはずだ。

電気自動車だけになってしまうと、様々なリスクが発生することも考慮する必要がある。電気を太陽光パネル、水力、風力など再生可能エネルギーで供給するならまだしも火力、核燃料などで増やすのであれば、電気自動車はクリーンとはいえない。使い切ったバッテリーが産業廃棄物として、新たな公害発生の要因になる可能性もある。

充電インフラも課題である。まだ安心して長距離走行ができないのが現状である。電気自動車の絶対的なコストの高さもネックになっている。そのためか、国内で売られている新型車の売れ行きは伸び悩んでいる状況にある。

内燃機関が不必要になれば、給油設備(ガソリンや軽油スタンド)は廃業に追いやられる。原油はガソリン、軽油の他重油、灯油に生成されているほか、樹脂などの製品の材料にもなっているので、これらへの精製のバランスをどのようにするのかも考慮する必要がある。電気自動車だけでなく多くのモビリティ開発でカバーした方が得策といえるだろう。

(遠藤 徹)

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