【遠藤徹の業界ココに注目】今年の決算セールは異例だ

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今年も2~3月の決算セールがスタートしている。今回は例年と異なり、まともな状況ではなくなっている。従来だとキャンペーン期間中は新車の値引き上乗せ、下取り車の高価格買取、低金利の残価設定クレジットの設定、用品サービスなどの買い得企画で盛り上げを図るのが通例になっているが、今回は趣向を変えなければならない状況にある。

キャンペーン企画の対象になっているのは、期間中に新車を成約し、ナンバーを取得し、納車するのが原則となっている。ところが新型コロナの蔓延でメーカーの組み立てラインが止まったりして、納期が大幅に延びている。ほとんどの量販モデルは2月上旬時点での納期が4月以降になっている。普通に考えればキャンペーン期間中の納車ができずサービス企画は提供できなくなっている。

そこで自動車メーカーや傘下販売店は、従来と違った対応をせざるを得なくなっている。サービス企画の対象をナンバー取得や納車ではなく、成約時に繰り上げている。ただこうなると、ユーザーからの販売代金を徴収する前にサービス企画を提供することになるので、収益が落ち込むことになる。

そこで販売店各社はユーザーに依頼し、成約時に代金の一部を徴収し、回転資金に回すといった工夫をしている。こうしたことはユーザーへのお願いだから、成約者すべてに対応するわけにはいかない。長年代替で愛顧をいただいているお得意さんであり、初めて購入するユーザーだと、購入をやめてしまいかねないので、躊躇せざるを得ないケースもある。

今や販売店を経営面で支えているのは車検、定期点検、修理、用品販売などのサービス売上である。こちらだと基本は現金収入であり、値引きはしないので高い収益源となっている。車検時には次の車検までのサービスパック商品も販売できるメリットもある。

(遠藤 徹)

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