ルノー・日産・三菱自動車、アライアンスのロードマップを発表 2030年に向けEVとコネクテッド・モビリティに注力

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ルノー・日産・三菱自動車アライアンスは1月27日、2030年に向けてともに未来を切り拓くため、モビリティのバリューチェーンに焦点を当てた共通のプロジェクトと実行計画を発表した。

今回の発表に際し、アライアンス会長のジャン・ドミニク・スナール氏は「ルノー・日産・三菱自動車アライアンスは、確かな実績を積み上げてきた世界の自動車業界の中でも類を見ないビジネスモデルです。過去22年間にわたり、私たちはそれぞれの文化や強みを生かして、共通の利益を得てきました。現在、本アライアンスは革新的なモビリティの投入や、お客さま、従業員、株主を含むすべてのステークホルダーに向けてより高い価値を提供するための取り組みを加速しています。そして、2030年に向けた共通のロードマップを策定し、将来に向けた電動化やコネクティビティのプロジェクトを、投資を分担しながら推進していきます。こうした技術開発には巨額な投資が必要で、メンバー各社が単独で行うことは不可能です。本アライアンスは、グローバルに持続可能な未来に向けて独自の差別化戦略に取り組み、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目指します」と述べた。

【「リーダーとフォロワー」の枠組み】

アライアンスは、2020年5月に発表したメンバー各社の競争力と収益性を支える新たな協業ビジネスモデルにより、強固な基盤の上でガバナンス体制や組織運営を効率化し、強力で柔軟な協力関係を築いている。

また、その際に発表したリーダーとフォロワーの枠組みにより、主要な技術についてはリーダー会社がフォロワー会社のサポートを得ながら開発を行い、メンバー各社がすべての主要技術を活用できるようになっている。

アライアンス各社は、プラットフォーム、生産工場、パワートレイン、車種セグメントなど、共用化の対象となりうる要素をまとめ、各車種に適した共用化の度合いを定めた「Smart Differentiation(スマート差別化)」手法を開発し、デザインやアッパーボディをより細かく差別化している。

同プロセスを強化することで、プラットフォームの共用化率を現在の60%から2026年には合計90車種の80%以上までの向上を予定しており、三菱自動車ではその取り組みの一環として、ルノーの最量販車種をベースにした新型ASXをはじめとする2つの新型車を投入し、欧州でのプレゼンスを強化するとしている。

【2030年に向けてEVとコネクテッド・モビリティに注力】

同アライアンスは2030年に向けたEVとインテリジェント・コネクテッド・モビリティ、そして投資の分担に関する共通ロードマップを策定。

今後5年間で電動化に総額230億ユーロ以上の投資を行い、2030年までに35車種の新型EVの投入を予定。そのうち、90%の車種は5つの共通EVプラットフォームをベースとし、ほとんどの市場、すべての主要地域をカバーする。

【2030年までにグローバルで220GWhのバッテリー生産能力を確保することを目指す】

同アライアンスでは、高い競争力を確保するため共通のバッテリー戦略を策定し、特にルノーと日産のコアマーケットでは共通のバッテリーサプライヤーを選択しているほか、共通のパートナー企業と協業してスケールメリットによるコスト低減を実現し、バッテリーコストを2026年に50%、2028年に65%削減することを目指している。

同アプローチにより、2030年までに世界の主要生産拠点で合計220GWhのEV用バッテリー生産能力を確保することを目指すとしている。

【日産は全固体電池の技術開発をリードし、アライアンスでそのメリットを享受】

アライアンスは全固体電池(ASSB)技術に関するビジョンを共有しており、他社に先駆けてバッテリー技術の開発に取り組んできた日産では、蓄積してきた深い専門知識と経験に基づいてこの技術革新をリードし、アライアンス各社での活用を可能にするとしている。ASSBは現行の液体リチウムイオンバッテリーと比較してエネルギー密度が2倍に向上し、充電時間は3分の1に短縮される。

2028年半ばまでにASSBの量産を開始し、さらに将来的に1kWhあたり65ドルまでコストを下げることでエンジン車と同等のコストを実現し、グローバルにEVシフトを加速することを目指すのに加え、戦略的パートナーとともに路上での公共充電について最適な提案を行うとしている。

【2026年までに2,500万台の自動車がアライアンス・クラウドに接続】

プラットフォームと電子システムの共用化により、2026年までにアライアンス全体で45車種に運転支援技術を搭載し、1,000万台以上の販売を見込んでいるという。

現在、既に300万台の車両がアライアンス・クラウドにつながっており、常時データのやりとりをしており、2026年までに年間500万台以上の車両にアライアンス・クラウド・システムを搭載し、2,500万台の自動車がアライアンス・クラウドに接続するとしている。

ルノーが技術開発をリードして電子機器のハードウェアとソフトウェアのアプリケーションを統合し、一体型の共通電気・電子アーキテクチャーを開発することで、その効果を最大化し、パフォーマンスの最適化を図ると述べている。

【2025年までに完全にソフトウェア定義された車両を投入】

同アライアンスは、2025年までに完全にソフトウェア定義(Software Defined)された車両の発売を予定。同モデルにより、クルマのライフサイクル全体を通じて、OTA(Over The Air)のパフォーマンスを向上し、クルマがデジタルエコシステムに統合され、パーソナライズされた体験や新しい充実したサービスを提供し、メンテナンスコストの削減を実現するとしている。さらに、車両の再販価値を高めることにもつながるほか、ソフトウェア定義された車両は、つながっているあらゆるモノやユーザー、インフラとの通信を可能とし、アライアンス各社に新たな価値創造の機会を創出すると述べている。

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