【遠藤徹の業界ココに注目】内燃機関の消滅はあり得ない

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地球温暖化対策の一環として、日本政府は2030年までに100%ガソリン車をなくすとしている。また欧米では2050年までに内燃機関をなくし、電気自動車(EV)に切り替える方向性を打ち出している。こうなると内燃機関は近い将来、廃止の運命となる。こうした措置はあり得ないと言わざるを得ない。

内燃機関の消滅は、様々の影響を及ぼすのは明白である。電気は火力発電をやめれば代替が必要になる。EVは航続距離が限定され、充電インフラ整備も必要だから多大な投資が必要で、これらによるマイナスの影響は図り知れない。ガソリンや軽油などのスタンドはEV等のインフラ整備に切り替えるだろうが、スムーズな移行は難しいと思われる。

ガソリンや軽油の代わりに水素、アンモニア、天然ガスなどの代替燃料でカバーすれば、二酸化炭素の排出を抑えることも可能になるかも知れない。そうすれば内燃機関の技術を生かすことも可能になる。石油(原油)はガソリンや軽油の精製だけではない。重油、灯油、樹脂など様々の製品にもなっている。内燃機関をなくせばこれらの代替も必要になる。

EVの航続距離、コストは今後の技術開発で大きく進捗し、普及が進むのは間違いない。その分地球はクリーンになり、温暖化のスピードは格段にブレーキがかかるだろう。同時に内燃機関のテクノロジーも一段と進捗し、クリーン化が進めば、EV、燃料電池車(FCV)等の新パワーユニットとの共存が可能になるかも知れない。内燃機関を廃止することよりも、コストの安さ、利便性などの良さを生かす工夫をした方がベターといえるだろう。日本にとってはそのテクノロジーに磨きをかけるチャンスともいえるだろう。

(遠藤 徹)

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