【河村康彦 試乗チェック】シボレー・コルベット MRになった走りは?

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500psオーバーの出力を確実に路面へ伝達

アメリカン・スポーツカーの雄『コルベット』がフルモデルチェンジ。1954年の初代モデル以来、数えて8代目となって日本への上陸もスタートした。

ちなみに、”C8”型といわれる新しいモデルは、歴代モデル初のミッドシップ・レイアウトの持ち主。これまで貫かれてきたFRレイアウトの”信者”からは「そんなのコルベットじゃない!」といわれる可能性もある一方、実はこれまでミッドシップのコンセプト・モデルに手を出したりした過去もあることを知る人からは、「ようやく、開発陣が真に望むコルベットが完成したんだ」と、そう好意的に受け取る人も現れそうである。

ようやく、開発陣が真に望むコルベットが完成

スタイリングはミッドシップ・スポーツカーらしい仕上がり。ロングノーズが特徴だった歴代のモデルとは、やはり全く異なるテイストが漂うが、それもあって新鮮さはピカいち。フロントのトランクは小さめだが、リヤのラゲッジスペースはなかなか広い印象だ。

インテリアは、タイトなコクピット感覚が強い。アメリカ車としては稀有な右ハンドル仕様での導入だが、ドライビング・ポジションは違和感のない仕上がりだ。

アメリカ車では稀有な右ハンドル仕様

二人のためのシート後方に、8速DCTとの組み合わせで搭載されているのは6.2リッターという大排気量のV型8気筒エンジン。バルブの駆動に「古い」といわれかねないOHVという方式を採用するが、回転伸びはスポーツカーの心臓に相応しい鋭さで、迫力あるサウンドもコキゲンだ。

ミッドシップマウントされるV型8気筒6.2リッターエンジン

最高出力は500psオーバーだが、それを無理なく路面に伝えられるトラクション能力はやはりミッドシップならではのメリット。同時に、ステアリングを切り込んだ際のノーズの動きが、これまでのコルベットとは別モノのように軽快に感じられるのも同様だ。

望外と思えたのは乗り心地の良さで、ランフラット・タイヤを履くにも拘わらず路面を舐めるように走ってくれるのに感心。

それでいながら、今回テストドライブの上級グレード『3LT』で1400万円という価格は、同等性能を備えるヨーロッパ発のライバルたちと比較をすると「大バーゲン!」というしかないものだ。

(河村 康彦)

(希望小売価格:1180万円~1550万円)

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