日産自動車は6月15日、細部まで上質にこだわった「NOTE AURA(ノート オーラ)」の発表会をインターネット中継で行った。新型車のCMに出演する中谷美紀さんも出席し、アンベールやトークセッションに参加。CM撮影で初めて見たノート オーラに「一瞬で恋に落ちました」と出会いの“衝撃”を語った(新型車の発売は今秋の予定)。
新型車のアンベールで発表披露会の幕が開いた。ピアノの独奏が止み、新型車の周囲を囲むベールが一気に落とされ、出現したノート オーラの傍らに佇む中谷美紀さん。この時、挨拶したのが冒頭の言葉だ。
続いて、星野朝子執行役副社長が挨拶。「新次元の電気の走りと、上質さを身にまとった、全く新しいプレミアムコンパクト。気品や独特の雰囲気という意味を持つ“オーラ”の名の通り、圧倒的な存在感と上質感を印象付けるモデルであり、従来のコンパクトカーの殻を破る、ひとクラスもふたクラスも上質なコンパクトカーを感じていただける自信作」と新型車を紹介。また、先日予約が始まった100%電気自動車の日産アリアにも触れ、10日間で約4000台の予約注文があり「日産の電動化技術への大きな関心を寄せていただいていることを知り、我々も改めて興奮している」と語り、引き続き“期待を超える”“常識を覆す”商品やサービスを提供する飽くなきチャレンジを継続すると明言した。
開発でこだわった三つの点
この後、開発責任者の藤沢直樹チーフプロダクトスペシャリスト(CPS)が、商品の魅力と開発の狙いを説明した。
新型車は「コンセプトは新次元の電気の走りと上質さをまとったプレミアムコンパクト。美しいシルエットを持ち、コンパクトなボディからは想像できない大きなキャパシティを持つ、新しい価値を提案している」とし、これまで上質なクルマをたくさん乗り継いできた、こだわりの強い方にも十分満足いただけるクルマと説明。こうした“目利き”を唸らせるため、開発の中では、①感性品質、②美・機能、③先進感の3点にこだわったという。
①感性品質
見て触った瞬間に感じられる作り込みの良さ、素材の重み、乗って感じる空間の心地よさを目指した。全幅が1735㎜3ナンバーとした堂々とした佇まいに、内装はシート地やトリムなどにツイード素材、木目調パネル等を使い、仕立ての良さを演出した。また、フロントドアの遮音合わせガラスの採用等により静粛性を高め、BOSEとのコラボレーションによる、ヘッドレストスピーカーを用いたパーソナルプラスサウンドシステムも採用した。
②美・機能
美しさの中に考え抜かれた機能があるという意味を込め、機能美ではなく美・機能とした。外観はひと目でオーラと分かるシグネチャーを採用し、内装では、9インチのナビ、12.3インチのTFTメーターを併せ持ち、見た目だけでなく機能的にも統合制御された。
③先進感
第2世代e-POWERは、モーターが100kW/300Nmまでチューンアップされて、余裕の加速力を生み出す。4WDシステムは、50kWの大容量リヤモーターを極めて緻密に制御することで、雪道のみならずあらゆる路面でコーナーリングや安定性を発揮し、走行性能はクラスを超えた高い次元へと高めた。
オーダーメイドしたようなコンパクトカーをデザインしたかった
さらに、デザインについて、ジオバーニ・アローバ・シニアデザインダイレクター(SDD)がプレゼンテーションを行った。
「オーラのデザインDNAは、タイムレスジャパニースフューチャリズムです。これは日産アリアと同じデザイン言語で、コンパクトセグメントで私達デザイナーが作りたかった、新しいプレミアムセグメントのクルマがまさにこのオーラなのです」と説明。オートクチュールのようなプレミアムのオーダーメイドしたコンパクトカー、そして、従来のコンパクトカーを超える上質な作り込み、オーラのデザインによりコンパクトカーのセグメントに、新感覚のスタイルとプレミアム感をもたらしたいと考えたという。
フロントセクションは、日産ブランドの電動化時代における新しいデザインアスペクトによって仕立てられている。スリムでスリークな形状のLEDヘッドランプと、光るVモーションの照明は、オーラのアイデンティティ。ワイドなスタンスは、クリーンに整流を行うバンパー両端の垂直なエアカーテンで際立ち、ボディサイドへとつながる。
サイドビューは、スリークで非常にダイナミック。クリーンで水平なラインは、まさにタイムレスでバランスが取れている。ユニークなのはホイールのデザイン。17インチの塗装された切削アルミホイールは、空力のクラディングがナットとボルトを隠しプレミアム感がたっぷりの外観とした。
リヤセクションは、ライティングブレードのLEDのテールランプがあり、水平な線で幅広くなったスタンスとクリーンな表面を伝えている。まさに、コンパクトカーの先をいくもの。ボディカラーは合計14色で、五つのツートーンカラーと九つの単色からなる。
インテリアは、上質で暖かい雰囲気を持つラウンジのようで、12.3インチのアドバンスドライブアシストディスプレイがナビゲーションスクリーンまでシームレスにつながる。また、直線的に仕立てられた技術と素材は、上質なツイード素材と木目調のフィニッシャーで表現されている。
中谷美紀さんが語るオーラの美しさ
CM上映に続き、中谷美紀さんを含め今回の出席者が一堂に会し、スペシャルトークショーが行われた。
──プレゼンターになられた感想は?
中谷さん:現在、私は日本とヨーロッパを往復する生活を送っており、初めて運転免許証を取得しました(5年目)。初めてハンドルを握った瞬間、クルマはまるで羽根が生えたかのような自由を与えてくれるものと気づいた。それ以来運転が大好きになりました。オーラはフォルム、細部まで、インテリアも美しいクルマで、オーラの魅力を一人でも多くの皆様にお伝えできるように努めてまいります。
──今回中谷さんをプレゼンターに起用した理由は?
星野副社長:このクルマのコンセプトは上質を纏ったコンパクトということで、上質感を出すことを考えた時に、気品あふれる中谷さんがぴったりだと思った。もう一つ、日産自動車には創業者の言葉で「誰もやらぬことをやる」というチャレンジャー精神がある。中谷さんは気品だけでなく、自分でいろいろなことにチャレンジして自分の芯のある強い方というイメージがあり、満場一致で決まりました。
──改めてオーラの印象、試乗された感想をお聞かせください
中谷さん:このお話をいただいてから、撮影の日を心待ちにしていました。どんなクルマなのか想像し、撮影スタジオに足を踏み入れたときのことは忘れられません。撮影スタッフが右往左往する中、暗がりの中にぽつんとオーラが佇んでいて、暗がりの中でも“オーラ”を放っていてひときわ美しかった。それが、身震いするほど美しくて、またたく間に恋に落ちました。無駄が削ぎ落とされていて、日本ならではの引き算の美学をジオバーニさんがよくご存知だったのではないかと思いました。
(試乗の印象は)これがまた乗り心地が快適で、何より驚いたのは車内がとても静かなこと。静かで安定して、私のような初心者でも安心して運転できるクルマ。やはり、デザインの美しさに魅入られた。走りまで美しさを追求していたことに感激しました。
藤沢CPS:ありがとうございます。このクルマはこだわりの強いお客様。今まで上質なクルマをいろいろ乗り継いできたお客様がサイズを小さくしたいが、クルマの質は妥協したくないという声があることに気づき、そこに対する答えです。美しさはもちろん、見掛け倒しではいけない。クルマ全体トータルで、しっかりバランスを取り、美しさの中にしっかりと機能を入れていく。引き算の美学とおっしゃいましたけど、無駄なく、しっかり機能を入れ、美しくデザインすることを技術陣とデザイン陣が一体となり開発した結果だと思っています。
──デザインで気に入ったところを教えて下さい。
中谷さん:まずは外観のフォルムが美しいですよね。ライトやワイパーに至るまで。インテリアがまた美しいツイード仕様、木目パネルであったり、大変贅沢な従来のコンパクトカーにない贅沢な仕様で、でも華美はない、とても落ち着いた印象を受けました。デザインチームのみなさんがとても苦心されたのでは?
アロバーSDD:私達が最初に思ったのは、とにかくデザインの最初の段階でテレイン(地形、環境)から始めなければならなかった、その後はサーフェスを見る。日産ネクストの中でタイムレスジャパニーズフューチャリズムを謳われており、その概念をどのように取り込むかに苦心をした。また、コンパクトカーセグメントには制約がある。しかし、新しい電動化、新しい体験、タイムレスジャパニーズフューチャリズムを謳いたかったと同時に、美的感覚を損ないたくなかった。このバランスを取ることが重要で、この二つの機能を補完する形で上級かつ上質なプレミアム感をコンパクトカーに提供できたと自負しています。
──中谷さんが考える上質さとは?
中谷さん:ご承知の通り今は価値観が多様化しています。私自身も多様な価値観を認めたい、理解したいと思っています。異なる価値観に対し、たくさんの選択肢が用意されつつある時代なのではないでしょうか。豊富にある選択肢の中から、自分自身に合わせてカスタマイズできるとしたら、それが上質だと思いますし、やはり数や量、大きさでなく質が問われている時代だと思いますので、まさにこのオーラは、時代に即した上質さを兼ね備えたクルマだと思っています。
──日々の生活の中で、仕事の中で、何か意識していることはありますか?。
中谷さん:好奇心を失わずに、常に新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。どうしても物事をわかった気になってしまうと、惰性で動いたり、あるいは日々が単調になる。常に新たな出会い、未知の世界に飛び込んでみたり、苦手を克服するといった挑戦を大切にしています。
──星野さん、好奇心というキーワードは日産のクルマづくりにも通じるのでは?
星野副社長:日産にはDNAの「誰もやらぬことをやる」もありますし、日産はチャレンジャーなので、チャレンジャーとして、本邦初の技術を出し続けるには好奇心を失ってはいけません。好奇心満載の技術陣、開発陣が、好奇心をどんどん活かしながらおもしろいクルマを次々と出していきたいと思っています。
e-POWERとEVの棲み分けは?──質疑応答から
質疑応答では、アリアとの棲み分け、またe-POWERとEVの棲み分けについての質問に対し、星野副社長は「これまで100年間ガソリンを入れてクルマ動かしてきたので、そう簡単にEVに切り替えられない。e-POWERはそこへのステップと考えている。e-POWERで電気の楽しい走りを経験できる。e-POWERがアンバサダーとなって電気の走りを広め、電気の走りの楽しさ、速さを経験されて、安心して100%EVにシフトしてもらいたい」と回答した。
オーラのメインターゲットについては、藤沢CPSが「開発ではある程度ターゲットを絞り込むが、それ以外のお客様でも十分満足いただけるクルマづくりをしている。このクルマで“こうしたお客様に振り向いてもらいたい”と考えているのが、今まで上質なクルマを何台も乗り継いできたお客様、クルマに対して強いこだわりを持っていたお客様。年齢層では、何台かクルマを乗り継いでこられた方だから幅広く考えていますが、ある程度年配から若くて、クルマが結構好きな方まで考えています」と回答した。
オーラの全幅を40㎜広げた理由を聞かれ、「このクルマの一つのコンセプトが、ダウンサイズしたお客様に満足してもらうこと。5ナンバーまで下げなくてもいいけれど、やはり立派なプロポーションを見せたいというの需要があり、コンパクトカーの制約である5ナンバー枠を取り払い、立派なプロポーションを優先させたかった」と藤沢CPSが回答した。
なお、質疑応答終了後星野副社長が、先週末日本経済新聞で報道された「スカイライン開発中止」について触れ、「そのような意思決定をした事実は一切ありません。日産自動車は決してスカイラインをあきらめません」と明言した。