【河村康彦 試乗チェック】アウディ・A3 走りも燃費も満足できる

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排気量だけで判断は早計、街乗りでは加速力に全く不満なし

初代モデルの誕生は1996年というアウディの基幹モデル、A3シリーズがフルモデルチェンジ。欧州での発表から1年余りを経て上陸した4代目モデルが、日本の道を走り始めた。

5ドア・ハッチバックと4ドア・セダンという2ボディ構成は従来型の場合と同様。シリーズ頂点にハイパフォーマンス版のS3を設定するのもこれまでと変わらない。そんなS3を含む日本仕様には3種類のパワーユニットを搭載。テストドライブを行ったのはアウディが“スポーツバック”と呼ぶハッチバック・ボディを備える、最もベーシックな”30TFSI”の心臓を積んだFWDモデルだ。

A3スポーツバックのリヤビュー

「今」の時代を象徴するのはパワーユニットのスペックで、7速DCTと組み合わされるのは何と1リッターのターボ付きガソリン3気筒エンジン。しかも、それだけには留まらずそこには走行中のエンジン停止までを可能とする48ボルトのマイルドハイブリッド・システムが加えられる。実際、かくも効率重視で開発されたユニットの採用で、高速道路のクルージングでは、20㎞/リッターが視野に入る燃費データをマークすることも確認できた。

直列3気筒1.0リッターターボエンジン

排気量を聞くとちょっと不安にもなるものだが、街乗りシーンでの加速力も全く不満のないもの。5000rpmを過ぎるあたりから”3気筒音”が耳に付くが、実際にはそこまで回す必要性が薄く、多くの人はそもそもこれが3気筒車とは気が付かないだろう。

イメージ踏襲の外観に対して、インテリアはいかにもフルチェンジらしい斬新な仕上がり。それも含めてモデルチェンジの見どころは多いが、ストローク感がグンと滑らかになり上質さを増した乗り味も、そうした中のひとつだ。

ハイパフォーマンス版のS3スポーツバック

ココはちょっと慣れが必要かな、と思えたのは、効率を追求し転がり抵抗を極限まで低減したこともあってか「エンジンブレーキがほとんど期待をできない」という印象。クルージング中、できる限りブレーキペダルには触れず車間を調整しながら走り続けたいという個人的には、これは少なからず気になるポイントとなった。

(河村 康彦)

〈車両本体価格(含むS3):スポーツバック・310万円~642万円/セダン・329万円~661万円〉

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