【河村康彦 試乗チェック】ホンダ・ヴェゼル しなやかな走りが好印象

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優れた静粛性ゆえ発電にもゆとりが欲しくなる

何かと話題(?)のヴェゼルに乗った。実車に対面をしての第一印象は「写真で見るよりも遥かにスタイリッシュ!」というもの。

写真で見るよりもスタイリッシュ

実は開発陣の中にも「このクルマ、何か写真映りが今一つで…」という人がいたが、確かにそうした印象。写真だと、フロントマスクの立体感が上手く表現出来ないせいかも知れない。実物は、波の抵抗を打ち消すために大型船の船首水面下に設けられた“バルバス・バウ”(球状船首)をも連想させる、ボリューム感に満ちた顔つきがなかなか個性的なのだ。同時に、水平基調でスッキリしたダッシュボード周りを中心に、なかなか上質で機能的にまとめられたインテリアも、好感を抱くことができる仕上がりだった。

上質で機能的なインテリア
球状船首を思わせる造形

日産の”eパワー”同様のシリーズ方式をベースとしながら、エンジンによる直結駆動モードも備えた2モーター式ハイブリッドをメインに、低価格を訴求した純エンジン仕様も設定。双方でFWD仕様と4WD仕様を展開する中で、テストドライブを行ったのは前者の4WD仕様。ちなみに、4WDシステムは後輪をモーター駆動とするのではなく、プロペラシャフトを用いて駆動トルクを伝達する”本格派”。最低地上高も180㎜と大きく確保されているので、悪路踏破性は見た目以上に高そうだ。

後輪はプロペラシャフトを介し駆動される

走り始めると、従来型を遥かに凌ぐ静粛性の高さがまずは印象的。ただし、それゆえエンジンが始動して回転数が高まると、相対的にそれが少々目立つ結果となってしまっていたのは皮肉だったが。

発進と同時に最大トルクを発生するモーターの特性で、日常シーンでの加速感に不満はない。一方で、延々と続く登坂路などでバッテリーからの持ち出し電力が枯渇してエンジンによる発電量がモノを言う場面になると、思いのほか「余裕がない」印象を受けることになったのも事実。

正直、現状の1.5リッターを1.8リッター程度とした方が、前述ノイズ面も含めた走りの上質さは大きくアップをしそう。ホンダ車らしからぬ(?)フリクションの取れたしなやかなフットワークが好印象であっただけに、この点が特に惜しまれることになった。

(河村 康彦)

〈車両本体価格:227万9200円~329万8900円〉

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