アストンマーティンは4月28日(英現地時間)、オープンコックピット・スポーツカー「V12 Speedster」に伝説的レーシングカー「DBR1」をオマージュした特別仕様を追加し、その詳細を発表した。「V12 Speedster」生産台数は世界でわずか88台となり、今回はこのクルマが希少なコレクターズ・アイテムであることを強調するカスタム仕様の詳細が発表された。ニューモデルの数多くのディテールは、1959年のル・マン24時間レースで優勝したオリジナルDBR1へのオマージュが込められている。
DBR1は、アストンマーティン史上もっとも大きな成功を収めたレーシングカーで、1959年のル・マン24時間レースとニュルブルクリンク1,000kmレースの両方で勝利を収め、1957年と1958年にもニュルブルクリンクで優勝を果たしている。同車はレース専用マシンとして設計されたクルマだが、アストンマーティンのもっとも有名な量産モデルシリーズである「DB」の前身でもあり、デザイナーのフランク・フィーリー氏よって社内でデザインされ、チーフ・レーシング・デザイナーのテッド・カッティング氏の協力で製作された。
今回詳細が発表された「V12 Speedster」特別仕様には、DBR1に敬意を表した専用オプションが装備されている。ボディにはアストンマーティン・レーシング・グリーンを採用し、クラブスポーツ・ホワイトによるピンストライプとロンデルが配され、クラブスポーツ・リップスティック・グラフィックを備えたサテン・シルバーのアルマイト・グリルを装備。コックピットでは、コンカー・サドルレザー、ビリジアン・グリーンのテクニカル・テキスタイル/ケイスネス・レザーを採用するなど、DBR1がもっとも輝いていた時代を象徴している。また、透明なリア“ウィンドウ”の中には、アストンマーティン・レーシング・グリーンに塗装された、ドライバー&パッセンジャー用のユニークなヘルメットが置かれているほか、透明なエナメル・カバーの中にソリッド・シルバーの“ウィング”エンブレムを装備。厳選されたグロス・カーボンファイバー、ケースネス・グリーンのレザー、サテン・シルバーの艶消しアルミニウム・スイッチギアを採用したオープンキャビンは、アストンマーティンが築き上げてきた偉大なモータースポーツの歴史へのオマージュが込められている。ほかにも、ペイント・プロセスだけでも最先端の塗装施設で50時間以上の作業が費やされた、サテンブラック・ダイヤモンド旋削仕上げによる21インチ・センターロック・ホイールを装備している。
パワートレインでは、アストンマーティンを象徴する最高出力:約700PS/最大トルク:約753Nmを発揮する5.2リッターV12ツインターボ・エンジンの高性能バージョンを搭載。車両後部に搭載されたZF 8速オートマチック・トランスミッションと組み合わされている。0~100km/h加速は3.4秒、最高速度は198mph(約318km/h)に達し、フロントウィンドウやルーフを持たないクルマとしては驚異的な数値でを実現している。
なお、DBR1カスタム仕様の「V12 Speedsters」は現在注文を受け付けており、アストンマーティン本社のゲイドンでハンドビルドが行われ、納車は2021年半ばからの開始を予定している。