動力性能はスーパーカー・レベル、見た目も走りも“尖った1台”
BMW車のネーミングルール変更で、かつて3シリーズ・クーペ／カブリオレと呼ばれていたものが、独立したモデルとして扱われるようになったのが『4シリーズ』。その中で、3シリーズがベースのM3と同様に「特別な強心臓を搭載した飛び切りのスポーツ・バージョン」と位置付けられたのが『M4』シリーズだ。
2ドア・クーペ版のみが発表済みの新型で、日本に導入されるのは6速MT仕様のベース・グレードと、8速ステップAT仕様の二つのコンペティション・グレード。『コンペティション』はよりパワーアップしたエンジンを搭載し、さらに受注生産の”トラックパッケージ”では一部装備を省くなどで軽量化の上、セラミック・ブレーキなどサーキット走行に相応しいアイテムを標準採用する。
試乗車は『コンペティション』。いかにも流麗なボディのシルエットに対し、特に縦方向に大型化されたBMWならではの“キドニーグリル”の新造形は議論を巻き起こすこととなりそう。
3リッターの直列6気筒ユニットに2基のターボチャージャーを加えた心臓が発する最高出力は510PS！ 最大トルクも650Nmだから、もはやその動力性能はスーパーカー・レベルだ。実際、ラフなアクセル操作では例え2速ギアでもドライの舗装路上でホイールスピンを起こしそうに。この先4WDバージョンの追加も発表されているが、確かにそれも「さもありなん」なのだ。
そんな強靭なターボパワーを受け止める足回りは、さすがにハードなセッティング。前後で異サイズのシューズが薄く幅広いことも手伝って、電子制御式の可変減衰力ダンパーを最も”乗り心地寄り”にセットしても、その乗り味は到底しなやかとは言い難い。
とはいえ、数あるBMW車の中から敢えて“これ”を選ぼうという人には、それもまた特長と受け取られそう。見た目も走りもかくも「尖った1台」が、このモデルなのである。
（河村 康彦）
〈車両本体価格：1298万円～1460万円〉
