100年に1度の変革期を迎えている自動車業界の中でも、通信によって車内にいながら車外と繋がる「コネクテッド機能」は注目を集めている分野の一つだ。クルマのコネクテッド機能は大きく分けて、車載通信機(DCM)の装備、または手持ちのスマートフォンを接続して通信を行う2パターンに分類される。今回は、DCMを搭載することによって実現する各社のコネクテッド機能を紹介する。
■トヨタ T-Connect
トヨタが展開するコネクテッド機能「T-Connect」は、2018年に発売されたクラウン、カローラスポーツから本格的に開始。これ以降に発売された新型車や、ディスプレイオーディオを搭載する車両(ライズとルーミーは除く)は基本的に対応している。また、レクサスは全車で同様のサービスが受けられる。
T-Connectが展開する主なサービスは以下の通り。発売やマイナーチェンジの時期によって、対応するサービスに多少の差異が見られる。
・オペレーターサービス
・緊急通報システム「ヘルプネット」
・遠隔監視・通信「マイカーSecurity」
・警告灯点灯時に適切なアドバイスを行う「eケア」
・JAFへの円滑な取り次ぎを行う「ロードアシスト24」
・ルート予測など先読み情報を案内する「エージェント+」
・リアルタイム情報分析で既存のナビゲーション機能を強化する「ハイブリッドナビ」
・最新の道路情報を自動でダウンロードする「マップオンデマンド」
・自車位置検索
上記の機能に加えて、クラウン、MIRAI、カムリ、カローラシリーズ、グランエース、ハリアー、ヤリスシリーズ、RAV4 PHVでは、スマホアプリ「MyTOYOTA」を通じて、クルマのロック・アンロックといった遠隔操作が可能となっている。
■日産 NissanConnect
日産が提供する「NissanConnect」は、DCMや手持ちのスマートフォンを経由して情報センターに接続することで、ドライブを快適にする情報提供や、オペレーターがナビの操作をサポートするサービスなどを受けることができる。主な機能は以下の通り。
・クルマの状況に合わせた車検・点検などを案内する「NissanConnect メッセージ」
・最速ルート探索
・オペレーターサービス
・目的地の天気情報や周辺のレジャー情報などの提供
・行き先車メール
・Googleカレンダー連携
・Gmailに届いたメールを読み上げる連携機能
・Twitterのタイムラインの読み上げにも対応する連携機能
・目的地検索や、ドライブの記録ができる「Nissan DriveCollector」
上記の機能はエルグランド、セレナ、エクストレイル、シルフィ、ジューク、エクストレイル、マーチ、NV350キャラバン、ティアナ、デイズ、ルークスにおいて、「N-Link OWNERS」に登録し、通信アダプタCAN接続(車両データ通信)、NissanConnectのアプリサービス対象ナビを装着することでサービスが受けられる。
また、スカイライン、リーフ、新型ノートではこれらに加えオペレーターサービス、自動地図更新、エアコンの遠隔操作(リーフのみ)、年間1万3200円で車内Wi-Fiが無制限に使えるdocomo in Car Connectなどが追加される。
■ホンダ Honda CONNECT
ホンダは2020年2月発売の新型フィットから車載通信システム「Honda CONNECT」を開始し、現在ではHonda eと新型ヴェゼルでサービスを展開し、スマホがクルマの鍵になるデジタルキーとしても使えるのが大きな特徴となっている。
ホンダのサービス内容については、こちらの記事を参照してほしい。
■マツダ マツダコネクト
マツダコネクトは、マツダ車のナビ周りシステムの総称として使われているが第一世代のものはDCMを有していないため、ここでは現行MAZDA3から展開されている第二世代のマツダコネクトの内容を記す。MAZDA3、CX-30、MX-30、CX-5、CX-8が対応する主なサービスは以下の通り。
・エアバッグ作動時や、SOSボタンを押した際に緊急通報を行う「マツダエマージェンシーコール」
・故障時などオペレーターなどが修理手配を行う「マツダアドバイスコール」
・メンテナンス部品の交換時期やパーツのコンディション確認
・ドアやトランクの閉め忘れ、ハザードランプの点灯をスマホアプリを介して通知、及びハザードランプON/OFF、ドアロック操作
・地図更新
・スマホアプリを介して燃料残量(%)、オドメーター(走行距離)、走行可能距離の確認
・スマホアプリを介しての目的地設定
・自車位置検索
■スバル SUBARU STARLINK
スバルのコネクテッドサービス「SUBARU STARLINK」は、現在新型レヴォーグのみで展開。サービスは緊急通報、SOSコール、ロードサービスの手配、故障・盗難装置作動・リコール通知機能を備えるが、リモート操作には対応していない。他社ではこういったサービスは1~3年間無料であるのに対し、スバルでは初度登録から5年間無料で使えるようになっている。
車載DCMを備える国産車・国産メーカーは、2021年4月現在では以上の通りである。トヨタは車種によって内容にばらつきがあるが対応車種が多く、ホンダはスマートフォンをクルマの鍵として使える機能を実装していることが、大きな強みになっている。
国産車での普及はまだ道半ばであるが、技術は日々進化し、そのスピードはさらに加速していくことが予想される。こうした技術が一部の車両だけでなく、幅広いクルマに搭載され、カーライフが豊かになる日はそう遠くない未来に訪れるかもしれない。