インペリアル自動車博物館フォードのバリエーション

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ラスベガスのインペリアル自動車博物館紹介もそろそろ終わりにしようと思う。前回、元祖大衆車とフォードを紹介したが、この元祖とは世界的に価値があるものだと思う。

フォードはコンベアシステムの開発で、量産効果によるコストダウンを見事に世界に示し、シトロエン、VW、とWWⅡ以前の欧州自動車先進国が見習い、さらにフォード自身も子会社を英・独・仏、さらには日本と各国に創業してT型からA型へと移りながら世界に大衆車普及の功績を残したのである。


亜細亜進出では、当初上海を考えていたようだが、関東大震災後の急激な需要増加を見て、日本進出を決定したようだ。

とにかく、T型だけでも1500万余台を売り上げた廉価で丈夫な車だから、それをベースに沢山のバリエーションが生まれている。そんな車をインペリアル自動車博物館から三台ほどを拾ってみた。

1932年フォードA型ウッディー(ステイション)ワゴン/$600:V型八気筒サイドバルブ・3619cc・65hp/3600rpm・三速変速機/美しい木製ステイションワゴンは高級バージョン。

1932年ウッディ・ステーションワゴン:多分木製ステーションワゴンのハシリだと思うが、30年代末になると各社に登場し、戦後派一世風靡するが、何処も各シリーズの最上位に位置する高価格だった。

1917年T型トラック用シャシーに架装されたタンクローリー:実用一点張りに作られたキャビンだが、当時は腕の良い木工職人が沢山居たのだろう丁寧見事な仕上がりが美しい。このシャシーは関東大震災直後ズタズタの東京交通網の中で活躍した円太郎バスと同じものだろう。

1917年フォードT型ベースのタンクローリー:自動車の普及によりガソリン需要も増大し、このようなタンクローリーが沢山作られて活躍したのだろう。この時代のエンジンは直四3ℓ・20馬力だが、標準、山間用、トラック用と三種のデフが用意されていた。
当時の道路事情からフォードは、1000回転で最大トルク、1500回転で最大実馬力、最高速60粁程がエンジンの長寿名に適していると考えたようだ。で、標準デフで約58㎞が得られたが、山間用で約50㎞、タンクローリーは約38㎞程を目標としたようだ。

1929年/昭和4年フォードA型郵便輸送車:T型からの直四サイドバルブ・エンジンはボアアップで3285cc・40馬力/2200回転。低回転と思うだろうが、常用速度でピストン速度が遅いほどエンジンは長持ちというのがフォードの信条だった。

1929年フォードA型郵便輸送車:汎用実用優先のフォードシャシーは頑丈ということで多くの分野で活躍した中の郵便輸送車だ。広いアメリカで数千台が活躍したと思われる。

 

車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。

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