大きく変わった新型ヴェゼル、新旧モデルのデザインを比較

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4月のフルモデルチェンジを前に、新型ヴェゼルが初公開されました。2013年の初登場以来、コンパクトSUVの代表モデルとしてトップセラーを続けてきた人気モデルだけに、その進化は大いに注目されるところ。というわけで、今回はデザインを中心に新旧ヴェゼルを比較してみました。

SUVらしさを増した外観デザイン

【エクステリア】
まずはフロント周りから。現行ヴェゼルはベースとなった当時のフィットと共通するイメージでしたが、新型ヴェゼルはフィットから離れ、SUVらしい印象となりました。

現行ヴェゼルが登場した2013年当時は、まだコンパクトSUVそのものが少なかったこともあり、カテゴリーとしても発展途上。フィットの「クロスオーバータイプ」としてアピールした方が理解しやすく、受け入れられやすかったということもあるのでしょう。「ホンダ車」としての統一したイメージを持たせたかったこともあるかもしれません。

しかし、それから7年以上が経過しコンパクトSUVが市場に完全に定着、雨後のタケノコのごとく各社から登場している現在では、もはやコンパクトカーと共通したイメージを持たせる必要はなく、むしろまったく別の個性を持たせた方が良いのでしょう。これはトヨタの「ヤリス」と「ヤリスクロス」も同じ方向性です。もちろん、現在のフィットのデザイン基調があまりSUV向きじゃないということもありそうですが…。

さて新旧並べてみると、現行型は躍動的でスポーティなのに対し、新型では力強く頼もしい印象です。シンプルな面で構成しているのがイマドキの流行といえるでしょう。中央に大きめのグリルを配し、そこに切れ長なヘッドライトを組み合わせたデザインは、ちょっとマツダSUVにも似た印象ですが、タフなSUVらしさという点では格段に向上しており、またコンパクトなボディを大きく見せるという点でも、多くのユーザーに受け入れられやすそうです。

続いてサイドから。現行モデルのルーフは前席頭上を頂点に後端に向かってなだらかに絞り込まれるクーペスタイル。コンパクトなハッチバックの面影が残ります。

これに対して新型では後席頭上まで直線状になり、後端を斜めにカットすることでクーペ調のイメージを演出しています。実際の寸法はまだ未公表ですが、後席の空間は新型の方が広そうに見えますね。ボンネット先端も高さがあるので、見切りも良さそうです。

全体の印象としては、キビキビした元気のよい走りをイメージさせる塊感のある現行モデルに対して、新型は直線基調で伸びやかな印象。安定感のある走りを感じさせ、完全にコンパクトカーとは別物の、SUVらしい堂々としたスタイルです。実際にはそれほど大きなクルマではないですが、画像だけで見ると、かなり大きなクルマに見えますね。兄貴分のCR-Vが、ますます霞んでしまいそうです。

リヤも大きく変わりました。左右のテールランプが直線で結んだデザインは新型ハリアーなど最近の流行ですが、ホンダもしっかりと導入です。車幅がぐっとワイドに見えますね。実用車らしい現行モデルのデザインも悪くありませんが、それに比べて新型は1クラス上の上級モデルに見えます。

上質になった室内空間

【インテリア】
外観同様、室内のデザインも大きく変わっています。インパネ周りはドライバー側に操作系を寄せた現行モデルに対して、新型は水平基調のシンプルなデザインです。運転席側から助手席側まで流れを断ち切らない連続したデザインとしたことで、助手席の前も広々とした印象となり、同乗者の快適性が増しています。スッキリとした視界の広さもポイントでしょう。

左が現行、右が新型。整然としたレイアウトになった

特徴的なのはエアコン吹き出し口で、これは新設計。実際の使用感はまだわかりませんが、見た目はカッコイイですね。

ちなみに、フィットのインパネとも全然異なるデザインです。パーソナルユースの多いコンパクトカーと、ファミリーユースの多いSUVで、きっちりと個性を分けたということでしょう。新型ヴェゼルは、装飾で豪華に見せるのではなく、素材の質感で上質さを演出する方向で、これは多くのユーザーに好まれそうですし、使い勝手の面でも満足できそうです。

参考までにフィットのインパネ。新型ヴェゼルとはかなり印象が異なる

ナビはインパネ内に埋め込む形から、新型では上方に配置され、より見やすくなりました。画面サイズは現行の8または7インチから新型では9インチになっています。また機能面では「Honda CONNECT」にフル対応しており、自動地図更新や車内Wi-Fiなどがホンダ車では初搭載となったほか、スマホをキー代わりに使うことも可能になっています。

上が現行、下が新型。ボリュームが物理ボタンになったのは好ポイントだ

後席の広さは、現行型でもヴェゼルの大きな特徴でしたが、新型も変わりません。足元、頭上とも余裕があり、快適に過ごせそうです。また荷室も広く、SUVとしての使い勝手も良さそう。テールゲートには新たに「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート(予約クローズ機能付き)」が設定されているので、さらに便利に使うことが出来そうです。

 

 

新型ヴェゼル、現段階では諸元や価格がまだ発表されていないので、結論を出すのは先になりますが、機能、質感ともに大きく進化したことは間違いないでしょう。激戦の続くコンパクトSUV市場の中で再びトップに返り咲くことも期待できそうです。4月の発売が待ち遠しいところですね。(佐々木耕二)

新型ヴェゼルの内外装デザインを動画でもチェック!

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