トヨタ車体は12月15日、ダカールラリーの参戦体制を発表した。同社が開発・生産するランドクルーザー2台で参戦し、前人未到の市販車部門8連覇を目指す。
チーム名をチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)とし、今大会から社員ドライバーをメインに据え、新メンバーも加わる新体制となった。
1号車は三浦昴選手(同社広報室)/ローラン・リシトロイシター選手(前回の2号車クルー)。2号車はロナルド・バソ選手/ジャン・ミシェル・ポラト選手のコンビを新たに起用する。
メンテナンスは、トヨタ販売店から派遣される日本人2名を含めたエンジニア、メカニック計19名で担当する。
チーム代表はトヨタ車体・杉浦一成コーポレート本部領域長が務め、元ハンドボール全日本代表という異色の経歴を持ちながら、的確な判断力でチームを市販車部門7連覇に導いた角谷裕司監督(同社広報室)が指揮を執る。
発表会でトヨタ車体・増井敬二社長は「1号車に昇格した三浦ドライバーを核に新メンバーを加え、さらにパワーアップした体制にした。この頼もしいメンバーと、ランドクルーザーに関わる全ての人々の力を結集し、8連覇を成し遂げてほしい」と激励した。
参戦車両は、前大会からトランスミッションをMTからATに変更しており、三浦選手は「前大会を通してATの制御プログラム、ソフトウェアに伸び代を感じたので、今大会向けに制御プログラムを改善し、より乗りやすく、砂丘ではスタックしにくいクルマに仕上げた」と説明した。
また、今大会からエースとしての重責も担うが「勝ちたいではなく〝勝たなければならない〟というポジションなので、最後までやってきたことを信じて、100%力を出し切ることに集中したい」と、意気込みを力強く語った。
■戦いの舞台は中東、サウジアラビア
43回目を迎えるダカールラリー2021は、前大会に引き続き中東、サウジアラビアが舞台。1月3日、サウジアラビア第二の都市であるジェッダから本格的なステージをスタートし、前半は固い石と砂が入り混じった路面を中心としたステージで、高い速度域での走行と、テクニカルなループコースの攻略が要求される。
ハイルでの中間日明けの後半戦(10日~)は、メカニックによる整備のないマラソンステージが2ステージ続き、その後紅海沿いの険しい渓谷のルートを経て、最終日前日には大会最長ステージが設定され、最終盤で選手には高い集中力と真の強さが試され、15日にジェッダでゴールを迎える。
さらに、大会運営面ではロードブックがデジタル化され、全ステージスタート10分前に配布されるため、コース戦略が立てにくく、より競技性が高められた。
今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でチームの活動も制限されたが「例年に比べ準備期間が短かったものの、克服すべき課題を絞り込み、参戦車両のポテンシャルは確実に向上した」と角谷監督は手応えを感じている。万全の体制で8連覇に挑む戦いが始まる。