バンコクのクラシックカー第四弾は、シボレー・コルベット・スティングレイ。この車はコルベット二代目で、1962年から67年迄に生産された車だが、姿が海で泳ぐ頴娃/エイに似ていることから、スティングレイのサブネームが付いたのだ。
この車、ルーペで拡大すると米国イリノイ州ナンバーが付いているので、コレクターの所蔵品かも知れない。が、持ち主の留学先、勤務先がイリノイだったのかも知れない。
米国のWWⅡ以前からの国家的行事、インディー500マイルレースはレーシングカーで争われ、加えてホットロッドやストックカーレースも盛んだが、戦前にスポーツカーレースがなかったからスポーツカーメーカーもなかった。
が、WWⅡが終わり欧州駐留の兵士が英国製スポーツカーを買い、帰国時に持ち帰ると、各地に草レースがはじまり、SCCA/スポーツカークラブofアメリカが組織され、本格的レースが開催されるようになる。で、スポーツカーが続々と輸入されるようになった。
となると自動車大国の米国らしく「何故アメリカ製がないのか」の要望で、先ず腰を上げたのがGMで1954年にコルベット誕生、次いで55年フォード・サンダーバードが誕生する。
が、会社のポリシーの違いか、GMは純粋なスポーツカー、フォードはGTという性格の違いが見られた。
さて、誕生したコルベットは好評で、二代目に引き継がれるが、より戦闘的に仕上げられた。前エンジン/後輪駆動とオーソドックスなFR構成ではあったが、前後荷重配分が前輪47/後輪53といように、レーシングカー並…初代はロードスターだけだったが、二代目ではクーペも登場させている。
64年型の諸元を紹介しておこう。全長4450㎜、全幅1770㎜、ホイールベース2490㎜・車重1420kg・90度バンクのV8はOHVで380馬力/6200回転・3MT/4MTと3AT・前輪Wウイッシュボーン+コイルスプリング/後輪トレーリングアーム+横置きリーフスプリング・四輪独立懸架。
リーフスプリングは時代めくが、実はバネ下重量がゼロに近く+四輪独立懸架で操安性向上が目的なのだ。65年型では四輪ディスクブレーキに。ビッグブロックと呼んだ6489ccV8は表向き425馬力だったが、実際には500馬力以上でレースで活躍したのである。
さてスティングレイというと海で泳ぐ頴娃/エイだが、タイの特産品でもあり、一匹の首筋に一個あるスターは、縁起が良いとタイ人は云う。バンコクで買った財布やバッグを日本で見せると「魚?うそだろう」とビーズと疑い戸惑う顔がとても楽しい。
車屋四六:1960年頃よりモーターマガジン誌で執筆開始。若年時代は試乗記、近頃は昔の車や飛行機など古道具屋的支離滅裂記事の作者。車、飛行機、その他諸々古い写真と資料多数あり。趣味はゴルフと時計。<資格>元JAFスポーツ資格審査委員・公認審判員計時一級・A級ライセンス・自家用操縦士・小型船舶一級・潜水士等。著書「進駐軍時代と車たち」「懐かしの車アルバム」等々。