マクラーレン・オートモーティブ、「McLaren 765LT」を日本初公開 最高出力765PS/最大トルク800Nmを発揮するマクラーレンV8ツインターボ・エンジン搭載

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マクラーレン・オートモーティブは11月5日、「McLaren 765LT」を日本初公開した。なお、限られた人々だけのものというLTのコンセプトの下、個別のナンバーが割り振られた765台の限定発売となる。

 

同車は1990年代にMcLaren F1 GTRで幕を開け、2015年からは公道走行適合モデルが投入されてきた「ロングテール(LT)」のマクラーレン車の最新作となり、歴代のLTに備わっている特性が新次元に引き上げられ、ドライバーとマシンとの一体感、サーキット指向の動的性能、軽量化、最適化されたエアロダイナミクスおよび増大したパワーといった特性がすべて強化されている。

 

先進のカーボン・ファイバー技術、ビスポークのカーボン・ファイバー製LTボディー・パネル、エアロダイナミクス機能が、「McLaren 720S」と比較して80kgの重力削減(DIN車両重量)に大きく貢献している。これに最高出力765PS/最大トルク800Nmを発揮するマクラーレン4.0リッターV8ツインターボ・エンジン、軽快なインギア加速を発揮するために最適化されたトランスミッション・ギア、ならびにLT特有のサスペンション・スプリングとダンパーが組み合わされることにより、完全な没入感を与えるドライビング・エクスペリエンスを実現している。

 

マクラーレン・スーパーシリーズ・シャシーの動的性能は、「McLaren 765LT」でさらに高められており、ドライバーにその極限の性能を余すところなく発揮させることができる一方で、低速での走行も楽しめる等状況に応じた「コミュニケーション&フィール」を提供する。ステアリングは電動油圧式パワー・ステアリングを継承しているが、ステアリング・ギア比をより速くし、トーション・バーをより硬くする調整を加えることで、ドライバーへのフィードバックがより研ぎ澄まされた。「McLaren 720S」で初めて採用された、最先端のリンク型油圧式プロアクティブ・シャシー・コントロールIIサスペンションは、「McLaren 765LT」の動的要件を満たすために、ソフトウェアとハードウェアの両方がアップデートされている。McLaren SennaおよびSpeedtailの開発を通じてサスペンション・システム・アルゴリズムの改良がなされており、これによって、精度と制御がさらに向上した。

 

「McLaren 720S」との比較では、フロントの最低地上高が5mm低くなり(リアは変更なし)、フロント・トレッドが6mm拡大されたことにより、グリップ性能とバランスの双方が向上している。軽量の新しいメイン・スプリングに「ヘルパー」スプリングを追加したことで、ばね下質量が削減されて、フルリバウンド時にもサスペンションの負荷が維持され、さらに2つのスプリングを使うことによって、1つの大きなデュアルレート・スプリングを使うときに比べて重量が削減されているほか、ロール剛性も高くなっており、車両の安定性がさらに向上した。

 

エアロダイナミクス性能は、サーキットで能力を発揮するためのキーとなっているだけでなく、公道での高速走行中の挙動にも影響を与えており、フロントの大型スプリッターと拡長されたアクティブ・リア・ウィングが、カーボン・ファイバー製のフロア、ユニークなドア・ブレード、リアの拡張されたディフューザーと組み合わされることにより、エアロダイナミック・ダウンフォースが「McLaren 720S」に比べて25%増え、エアロダイナミクス性能を新たな次元に引き上げている。

 

さらに、「ロングテール」のアクティブ・リア・ウィングを高位置に静止させるにより、エンジン・ベイの熱気が排除されてパワートレインの冷却が促進されるとともに、ダウンフォースも向上し、エアブレーキの優れた機能性によって、急ブレーキ中もダイブ感が軽減される。これによって、フロントのスプリングだけでフロントの最低地上高を維持する必要がないため、スプリング自体が従来に比べて柔らかくなっており、フロント車軸のコンプライアンス特性が改善し、公道での走行がより快適になる。リア・ウィングの性能と全体的なエアロダイナミクス性能が向上した効果は、より大きなリアのエアロバイアスが求められるハイスピード&ハイダウンフォース・サーキットで特に発揮される。

 

ギアボックスとサスペンションの特性は、マクラーレンのトレードマークであるアクティブ・ダイナミクス・パネルのパワートレインとハンドリングの設定を使って、コンフォート、スポーツ、トラックのいずれかを選択して調整することができるほか、「McLaren 765LT」では「リミット・ダウンシフト」と呼ばれる新しいトランスミッション機能が導入されている。これまで、エンジンがオーバーレヴ(過剰回転)する場合、マクラーレンの7速シフト・ギアボックスではダウンシフトができなかったが、新しいLTでは、トランスミッション・ソフトウェアがダウンシフト要求を認識し、エンジンの速度と車速の整合がとれる場合、そのようにギアを変更。この機能により、ドライバーがギア・チェンジをより自由なタイミングで選択できるようになった。

 

ブレーキング性能においては、最新世代のカーボン・セラミック・ディスクとMcLaren Sennaで採用されたキャリパーとの組み合わせが、正確なペダルのフィールと驚異的な制動能力を生み出しており、Formula 1に着想を得た一体型のキャリパー冷却は今モデルで初めて導入された技術となる。また、サーキットでの走行においては、McLaren Sennaに装備されていたカーボン・セラミック・ディスクとビスポークのLT用ブレーキ・パッドで構成された、サーキット用ブレーキへのアップグレードを選択することも可能となっている。

 

足回りは、「McLaren 765LT」のために開発されたPirelli製のタイヤを装備。マクラーレンとPirelliのエンジニアたちが共同開発し、ビスポークのタイヤ・トレッドと構造によりドライバーの指先に伝わる感触が高まるように、シャシーの動的特性を改良し、性能を強化した。

 

すべてのマシンでマクラーレンが追求している軽量設計とエンジニアリング哲学車両重量においては、カーボン・ファイバー製のボディー・パネルおよびコンポーネントの積極的な採用、ならびにパワートレインおよびシャシーの部品の最適化と快適さの利便性のための装備の削除を通じて、「McLaren 720S Coupé」から80kg(DIN車両重量)重量削減し、最軽量の乾燥重量622PS/トンを実現した。

 

車両のあらゆる部分で徹底した軽量化をしつつ、コンポーネントの性能を強化。例えば、フロント・フロアはより軽量で頑丈なワンピース型のカーボン・ファイバー製パネルになっており、アンダーボディの設計変更によるエアロダイナミクス面での便益をもたらすだけでなく、車両の慣性低減にも貢献している。トランスミッションのファイナル・ドライブ内にあるピニオンとクラウンは、ロードカーよりはFormula 1で多く採用されている、高性能のニッケルクロム20NiChで作られており、これを「McLaren 765LT」で使うことによって、重量と仕様のバランスが理想的な状態に保たれているほか、次世代のリチウムイオンバッテリーも軽量化されており、「McLaren 720S」に装備されていたバッテリーより3.0kg軽くなっている。

 

インテリアでは、全体にカーボン・ファイバーを使用することでより軽量化され、標準装備の軽量カーボン・ファイバー製シェル型レーシング・シートは、「McLaren 720S」のスポーツシートより合計で18kg軽量化されている。ビスポークの軽量センタートンネルは、カーボン複合素材で作られており、そのパネルの厚さはわずか0.8mm。カーボン・ファイバーは、ウィンドー・スイッチ周辺、ステアリング・ホイールの金具およびアクティブ・ダイナミクス・パネルでも使用されており、あらゆるアイテムで重量削減が図られている。さらなる重量削減を希望するカスタマーは、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズが開発した、MSO Definedのシリーズからカーボン・ファイバーオプションを注文することも可能。

 

コックピット内では、軽量のアルカンターラ(Alcantara®)のトリムが多く使われており、床面にはカーペットが敷かれておらず、ヒンジ式のドア・ポケットは収納ネットに変更され、ステアリング・ホイールの距離と傾斜の調整は手動になっている。空調とオーディオ・システムは標準装備では装備されておらず、どちらも追加費用なしのオプションとして注文が可能。現代のMcLaren LTでは初めて、サイド・ウィンドーのガラス幅が薄くなっているほか、ウィンドスクリーンも薄くなっており、透明パネル付きのCピラーとリアのスクリーンは、モータースポーツ・スタイルの軽量のポリカーボネートで作られている。ディヘドラル・ドアの上部には、軽量のカーボン・ファイバー製パネルが配されているほか、フル・チタニウムのエグゾースト・システムが採用されており、その重量はわずか10.9kgで、比較可能なスチールのシステムより40%軽くなっている。

 

超軽量のカーボン・ファイバー製レーシング・シートのオプションを含め、利用可能なすべての軽量化対策を採用すると、最軽量の乾燥重量はわずか1,229kgとなる。McLaren Sennaのために開発されたカーボン・ファイバーで作られているシートは、従来のカーボン・ファイバー・プロセスで作られた同じシート・シェルに比べて3分の1の重量を実現し、それぞれのシェルの重さはわずか3.35kgとなる。なお、最大限の軽量化よりも利便性のための機能を重視するカスタマーは、「McLaren 765LT」の装備ポートフォリオから多様な装備の選択が可能となっている。

 

エクステリアカラーでは、専用色のナルド・オレンジとスモークド・ホワイトの2色を含む、17のカラーを設定。「McLaren 600LT」で初めて公開され、「McLaren 675LT」オリジナルのシケイン・グレーを想起させる、シケイン・エフェクトも選択可能なほか、他の13のエクステリア・カラーは、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズを通じて利用可能なMSO Definedのシリーズに含まれており、これら以外にもMSO Bespokeの委託によって、技術的にはどのようなカラーも注文可能となっている。また、ブレーキ・キャリパーをさまざまな仕上げとカラーにすることができるほか、10本スポークのウルトラライトウェイト鍛造ホイールは標準装備ではプラチナ仕上げになっているが、ブラック・グロス、ステルスまたはサテン・ダイヤモンドカットの仕上げも利用できる。

 

アルミニウム製ボンネットは、標準装備としてすべての面が塗装されているMSO Definedのカーボン・ファイバー製パネルと交換することが可能であるだけでなく、側面が「サプライズ・アンド・デライト(驚きと喜び)」のクリア・ラッカーの光沢があるビジュアル・カーボン・ファイバーのもの、または全面がVCF(ビジュアル・カーボン・ファイバー)のものも用意されている。765LT向けのMSO Definedシリーズには、アルミニウム製フェンダーの代わりとなる、ルーバー付きのカーボン・ファイバー製フロント・フェンダー、ビジュアル・グロス仕上げのカーボン・ファイバー製ルーバーなどが含まれている。

 

マクラーレン・オートモーティブCEOのマイク・フルーウィット(Mike Flewitt)氏は「McLaren 765LTは、マクラーレン・オートモーティブ史上最も完成度が高く、最も刺激的なLTモデルです。765台の限定生産という希少な価値をオーナー様へご提供するという目的のもと、ドライバーとマシンとの関係性を最も純粋なかたちで再現するために、細部にわたり数百のエンジニアリング活動により実現した圧倒的な性能と驚異的なレベルでの一体感により、完全な没入感を味わえるドライビング・エクスペリエンスを実現しています。」語った。