アルプスアルパイン、ハプティック リアクタの強振動モデル「Heavy type」を開発、サンプル出荷を開始

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アルプスアルパインは、タッチフィードバック技術を応用したハプティック® リアクタの強振動モデル「Heavy type」を開発し、10月より車載市場向けを中心にサンプル出荷を開始、2021年1月より量産を開始すると発表した。

 

昨今、オートモーティブ市場においては、従来のスイッチやダイヤルによる操作の集約・複合化が加速するとともに、タッチ方式による入力操作が増加しつつあり、これまでのカーナビやカーオーディオに加えて、空調機能などを集中操作するHVAC(空調機能を集約したモジュール)制御をディスプレイ上でおこなったり、ADAS(先進運転支援システム)機能のIVI(次世代の車載情報通信システム、車載インフォテインメント・システム)システムへの統合など、デザイン性に加えUI(ユーザーがPCなどの機器とやり取りをする際の入力や表示方法などのしくみ)/UX(サービスなどによって得られるユーザー体験)面からもタッチ操作は今後益々増加していくものと思われる。

 

一方で、HVACやIVI化が進むことによりその操作が複雑化するのに加え、タッチ操作は確実に入力されたことが分かりにくく、運転に集中できないため操作中の事故が報告されるなどの課題もあり、これに対しタッチ操作は音や光などによるフィードバック機能が付加されていたが、より直感的かつ視線移動を伴わない振動によるフィードバック機能への要求が向上している。さらに、運転時における車線逸脱警告や周辺にクルマが接近したことを知らせる車両接近警告などにおいても、より確実に状況を伝える機能としてステアリングやシートを振動させるなど、安心・安全性を高める技術としても注目されている。

 

アルプスアルパインは、上記の様な市場ニーズに応えるため、ゲームやVR機器で多くの実績を重ねてきたハプティック® リアクタに、同社従来製品比5倍の加振力15G(at100g)を発出する「Heavy type」を新たに開発。10月より車載市場向けを中心にサンプル出荷を開始するとともに、2021年1月からの量産化を目指すと述べている。

 

同製品は、カーナビなどのパネル背面へ取り付けて使用されるが、従来の振動デバイスではディスプレイなどの重量物(約600g~1kg)全体を振動させるには、デバイスサイズの大型化や強い振動を発出させるために昇圧回路が必要となるなど多くの課題に対し、今回新たに開発したハプティック® リアクタ「Heavy Type」では、従来品「Hybrid Tough Type」の内部構造を見直すとともに1共振タイプとしたことで、ハプティック® リアクタの特長である指先が振動を感じやすい水平共振かつ優れた反応速度を維持しつつ、幅33×奥行23×高さ13㎜と小型ながら低周波帯(130Hz)で15Gという加振力を実現。また、入力電圧も7Vと小さいため昇圧回路などが不要となりセット設計の自由度向上に貢献する。

 

なお同製品は実装利便性を高めるため、取り付けタブおよびハーネス・コネクタタイプを採用。ディスプレイなどの背面のみならず、ステアリングやシート部、ドアトリムなどあらゆる車室内への搭載が容易な仕様となっている。さらに、ドライバICに関しては、これまでのCirrus Logic社、Dongwoon Anatech社に加え、新たにDialog Semiconductor社の協力を得て、セットメーカー各社の環境およびニーズに沿った振動パターンの生成が可能となっている。

 

アルプスアルパインは、今後スイッチやタッチパネルなどの入力デバイスや各種車載センサおよび、音や光などの出力デバイスとの親和性をより高めるECUとのマッチングを進めるとともに、ADASや自動運転時の警告発信用途などへの応用を進めることで、乗車者の安全性と快適・利便性を高めるユーザーエクスペリエンスに貢献していくと述べている。

 

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