どこまでも続く一本道を走るキャンピングカー

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コロナ禍でも頼りになるキャンピングカー活用術

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文・写真:岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家/ライター)

WITHコロナ時代を笑顔で乗り切る!

新型コロナウイルス感染症によって「新しい生活様式」が求められている今、あらためてキャンピングカーの有用性に注目が集まっている。プライベート空間を確保しながら移動できるキャンピングカーには、「密を避けて感染を防ぎながら旅を楽しめる」「テレワークの拠点になる」「感染者の隔離施設や災害時の避難場所として利用できる」など、様々なメリットがある。キャンピングカーを活用して、WITHコロナ時代を安心・快適に乗り切ろう!

様々な車種のキャンピングカーが並ぶ

密を避けた移動手段としても注目されるキャンピングカー

キャンピングカー「セレンゲティ」の内装

岩田氏の元愛車「セレンゲティ」の内装。この居住空間であればテレワークも問題無し、有事の際の一時避難もOK


コロナ禍で役立つキャンピングカー

新型コロナウイルス感染症が、世界中で猛威を振るっている。日本では5月下旬に緊急事態宣言が解除されたが、その後も感染者数は増加し続け、3密(密集・密接・密閉)回避を中心とした「新しい生活様式」が求められている。

そんなコロナ禍において、あらためてキャンピングカーの有用性がスポットを浴びている。なぜ、今キャンピングカーが注目されているのか!?

普通車にはないキャンピングカーならではのアドバンテージは、大人でもゆったりと横になれるフラットなベッドスペースや、食事や休憩などに使える生活スペースが確保されていること、給排水設備を備えたシンクや、自炊可能なキッチンが用意されていること、車内で電気製品を使えるサブバッテリーが装備されていること、車種によってはトイレやシャワーも完備されていること等がある。

そもそもキャンピングカーは、車内に生活・就寝できる設備を備えた“動く家”。その特性を活かせば、旅行やアウトドア、趣味などのレジャーにとどまらず、コロナ禍でも密とは無縁のプライベート空間を確保できる。

自宅の駐車場に止めたキャンピングカーで生活・就寝をして、外出自粛のストレスをためることなく旅に出たかのような“非日常感”を味わう人。「家キャン」「庭キャン」と称し、自宅の敷地内に駐車したキャンピングカーのサイドオーニングを広げて、家族でBBQを楽しむ人。4~5月の緊急事態宣言下でも、多くのユーザーがキャンピングカーを活用して「ステイホーム」を乗り切る様子が、SNSなどで大量に投稿された。

家キャンプでBBQをする親子

コロナ禍でも「家キャン」で非日常を楽しむ新しいスタイル

キャンピングカーに車載したソーラーパネル

ソーラー発電システムがあれば、電力にゆとりも生まれる

感染を防ぎながら旅を楽しむ

3密(密集・密接・密閉)を避けて感染を予防しながら日常生活を送る「WITHコロナ」時代においても、キャンピングカーへの注目度は高まる一方だ。

日本RV協会が実施した最新のアンケートによれば、「キャンピングカーでの旅・観光は、ソーシャルディスタンスの面から有効だと思いますか?」という質問に対して、実に88.5%の人が「はい」と回答している。

キャンピングカーのプライベート空間を有効に活用すれば、ウイルス感染を防ぎながら旅を楽しむことが可能だ。コロナ禍におけるキャンピングカーを活用した旅行の最大のメリットは、不特定多数が利用する電車やバス、飛行機などの公共交通機関を使わずに、感染リスクを回避しながら移動ができること。

外出先でも車内のベッドでゆったりと就寝できるため、ホテルや旅館の事前予約も不要。トイレやシャワー設備のあるキャンピングカーなら、公衆トイレや公衆浴場を利用する必要もなく、不特定多数との接触を抑えながら安心して旅を楽しめる。車内に装備されたシンクを使って、頻繁に手洗いやうがいをすることで感染を予防できるのもメリットだ。

キャブコン「ジル」シリーズ

あこがれのキャブコン(キャブコンバージョン)は、まさに“動く家”

キャブコン「ジルノーブル」の内装

これだけの居住空間があれば、ホテルや旅館に泊まらなくても旅ができる(バンテック・ジルノーブル/ジル)

テレワークや隔離にも活躍

コロナ禍の旅行以外にも、キャンピングカーが役立つシチュエーションは多い。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業が自宅や移動先で仕事をするテレワークを推進しているが、キャンピングカーがあれば、自宅の駐車場や都市部のコインパーキング、景色の良い自然の中など、クルマが止められる場所であればどこでも“オフィス”に早変わりする。

車内のACコンセントで、スマホやノートパソコンの充電、プリンター、スキャナー等が使用でき、テーブルとソファで構成されたダイネットが仕事用のスペースになる。サブバッテリーでエアコンを稼働できるキャンピングカーなら、暑い季節でも快適なワークスペースを構築可能だ。

家族がいる自宅だと仕事に集中できないという人も多いが、完全なプライベート空間であるキャンピングカーの車内なら、周囲を気にすることなく仕事に没頭できる。休憩時間にはキッチンでコーヒーを淹れたり、冷蔵庫から冷えたドリンクを出して飲んだり……。自宅の駐車場なら家のWi-Fiを接続することもできるので、キャンピングカーの車内にノートパソコンを持ち込むだけで、快適なテレワークの拠点になる。

ほかにも、家族が新型コロナに感染してしまった場合、キャンピングカーを隔離施設として利用すれば家庭内感染を防止できる。日常生活に不便のない設備が整ったキャンピングカーなら安心して生活できるし、自宅の敷地内でAC電源が接続できる環境であれば、サブバッテリーの容量を気にせずにエアコンや冷蔵庫なども使用可能だ。

また、コロナ禍で万が一災害に見舞われた場合、ソーシャルディスタンスを確保するため避難所に入れる人数に規制がかかるケースも考えられる。そんな時も、就寝設備、水道設備、生活電源設備、トイレ、シャワー等が整ったキャンピングカーがあれば、防災シェルターとして利用できる。

新型コロナウイルスとの闘いはまだ先の見えない状況だが、こんな時こそキャンピングカーを積極的に活用するべき。3密を避けて家族で旅を楽しむツールとして、テレワークの拠点として、家族に感染者が出た場合の隔離施設として、災害時の一時避難場所として……。家とクルマが一体になったキャンピングカーのアドバンテージをフルに活かして、WITHコロナ時代を乗り切ろう!

キャンピングカー内でテレワーク

キャンピングカーでテレワーク

自然の中に滞在するキャンピングカーライフ

クルマが止めらる場所なら、自然の中でもオフィスに早変わり


プロフィール

岩田 一成(キャンピングカーライフ研究家/ライター/HOT MIND代表)
1971年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業・ 8年間の出版社勤務を経て2003年3月に独立。同年4月より、編集工房『HOT MIND』代表として編集業務の請負を開始。ライター・エディターとして、自動車専門誌を中心に様々なジャンルの雑誌・ムック製作に携わる。取材・インタビュー経験は3000件以上。座右の銘は、『商人ではなく、常に最前線に立つ職人であれ!』。

 


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Creative Works HOT MIND

《 本稿は新聞「週刊Car&レジャー」2750号(2020年9月)に掲載 》

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