トヨタ・JR東日本・日立製作所、自動車技術と鉄道技術を融合 脱炭素社会を目指して次世代の鉄道車両を開発

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トヨタ自動車、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)、日立製作所(以下、日立)は10月6日、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両を連携して開発することに合意したと発表した。同試験車両の連携開発により、鉄道の環境優位性のさらなる向上とサスティナブルな社会の実現を目指すとしている。

 

①次世代の鉄道車両による脱炭素社会の実現

世界がサスティナブルな社会の実現を目指す中、大量輸送機関である鉄道にも、よりクリーンなエネルギーで走行する次世代の鉄道車両が期待されている。水素は様々な原料や再生可能エネルギーを活用して製造することができるうえ、エネルギーとして利用する際は二酸化炭素を排出しないという優れた環境特性があり、水素をエネルギー源とする革新的な鉄道車両を開発していくことで、地球温暖化防止やエネルギーの多様化などによる脱炭素社会の実現に貢献していく。

 

②ハイブリッド車両(燃料電池)試験車両開発向けた連携

JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術、日立はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、トヨタは燃料電池自動車 MIRAIや燃料電池バス SORAの開発で培った燃料電池の技術を有しており、3社が持つ鉄道技術と自動車技術を融合し、自動車で実用化されている燃料電池を鉄道へ応用することで、自動車より大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御を目指したハイブリッド車両(燃料電池)試験車両を実現する。

 

③ハイブリッド車両(燃料電池)試験車両概要

(1)車両構成

  • 車両形式:FV-E991系
  • 両数:2両×1編成
(2)燃料電池ハイブリッドシステムの仕組み

水素タンクに充填された水素は燃料電池装置へ供給され、空気中の酸素との化学反応により発電する。主回路用蓄電池は燃料電池装置からの電力とブレーキ時の回生電力を充電する。ハイブリッド駆動システムは燃料電池装置と主回路用蓄電池の両方からの電力を主電動機に供給し、車輪を動かす制御を行う。燃料電池装置の開発はトヨタが、ハイブリッド駆動システムの開発は日立が担当する。

 

(3)試験車両主要諸元

 

(4)愛称名:「HYBARI」(ひばり/HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)

「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージし名称を決定した。HYには水素(HYdrogen)の意味とともに、HYBでハイブリッド(HYBrid)の意味を込めている。

 

◆デザイン

 

◆ロゴ

 

④実証実験の概要

  • 開始時期:2022年3月頃(予定)
  • 試験区間:鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原)
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