(本稿は新聞「週刊Car&レジャー」2750号(2020年9月)に掲載)
技術力の高いスタッフによるハンドメイドで1台1台仕上げるM.Y.Sミスティック(山梨県甲斐市)は、キャンピングカービルダー随一のオリジナルティ溢れるモデルをラインナップしている。中でも個性的なモデルが木目調のインテリアでログハウス風の室内空間を備える「レジストロ」や「レジストロ・アウル」、そして小型トレーラー「クコ」のレジストロシリーズだ。また、同社は、室内の快適性に直結する“空調”にもこだわっており、さまざまな研究開発を進めながら各モデルに最適なシステムを導入している。ショー会場などでの見学時には、空調面にもぜひ注目してほしい。
レジストロ・アウル マルチルームを備え、実用性を高めたライトミドルキャンパー
ミスティックの販売ボリュームを担う大人気モデルがトヨタ・タウンエースをベースにしたキャブコンバージョン(キャブコン)「レジストロ・アウル」だ。基本デザインは後述するレジストロと同じだが、マルチルームやリヤエントランス等アウル独自のレイアウトや室内の広さ等が魅力で、選択の幅を広げてくれる一台だ。
インテリアはレジストロシリーズの特徴であり評判のウッドテイストの壁面を採用。シートレイアウトは、コの字型とチャイルドシートが装着可能な前向きシートの2タイプを設定している。どちらのタイプもフロア全面をフルフラットベッドへ展開可能。このダイネットベッドは1850mm(奥行)×1250mm(横幅)の広さで、バンクベッド(同1800mm×1770mm)と合わせて5名の就寝が可能だ。
アウルの大きな特徴であるマルチルームは、荷物の収納場所やポータブルトイレを配置してレストルームとしても活用できる。さらに車外に通じるハッチは、雨やマリンレジャー等で濡れた道具の収納も車内を通さずスムーズに行えるとユーザーからの評判も高い。
また、オプション装備が充実しているのも特徴のひとつ。その中でもおススメなのがアウル専用設計の収納レザーバックだ。ログハウスのような室内空間にマッチしたデザインで、壁にかけて収納場所として使える他、オシャレなバッグとして持ち運びもできる。
この他、ベース車両のタウンエースが6月にマイナーチェンジを実施し、エコカー減税の対象となる新開発の1.5Lエンジンを搭載。来年のキャンピングカーショーには、新しいベース車両のアウルが見られそうだ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・ライトエース
乗員定員/就寝人数:6名(5)/5名(大人2×子ども2)
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4680mm×1910mm×2590mm
税込み価格:アウル=441万4700円~(税込)
レジストロ 軽トラックをベースに5人乗車を実現したキャブコン
2017年にデビューしたレジストロは、愛嬌を感じさせる内外装デザインにより各地のショーで人気を集め、今やミスティックの看板モデルにまで成長した。
レジストロの最大の特徴は、室内の壁面にウッドテイストをあしらいログハウスのような温かみのあるインテリアに加え、丸みを帯びた親しみやすいシェルデザインだ。このデザインコンセプトはシリーズ共通となっている。
このコンセプトの元となったJ-キャビンミニWは、軽トラックの荷台に取り外し可能なシェルを搭載した軽トラックキャンパー(トラキャン)で、ランニングコストの低い黄色4ナンバー登録車。しかし、乗車定員が2名だったため「家族4人で使いたい」、「孫も一緒に乗りたい」という声が多く寄せられた。そこでファミリー向けに軽トラックをベースとしながら白8ナンバーを取得することで5名乗車を実現したキャブコンモデル「レジストロ」が誕生した。
シートレイアウトは家族が並んで座れるL字シートと、前向きシートの2タイプを設定。フロア全面をベッド展開でき、バンクベッド(奥行1600mm×横幅1650mm)と合わせて4人就寝が可能。小さな子供がいるファミリーでも安心してクルマ旅を楽しむことができる。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・ピクシストラック
乗員定員/就寝人数:5名/4名(4名/4名)
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:3850mm×1770mm×2500mm
価格:352万円~(税込)
レジストロ・クコ 軽自動車でもけん引可能な小型トレーラーモデル
ミスティックブランド初の小型トレーラーモデル「レジストロ・クコ」は、レジストロシリーズの特徴的な内外装デザインを踏襲しながら、軽自動車でもけん引可能をコンセプトに作られた。
そのボディは、同社独自のボディバス工法により軽量かつ高強度に作られ、総重量を480kg(標準仕様)に抑えられた。
エクステリアは、アーリーアメリカンテイストなサインディングに加えてアーチ形状のルーフにより、一目でレジストロシリーズの一員であることを印象付ける。ヒッチメンバーを装着する前面のサイディングは、前方にせり出したように角度をつけた斬新なデザインでミスティックらしいオリジナリティ溢れるデザインとなっている。
インテリアは、レジストロシリーズの象徴であるウッドテイストを採用。室内はフロント側にキッチンスペース、リヤ側にコの字型のダイネットを配した。ダイネットはフルフラットベッド(1800mm×1640mm)へ展開でき、大人3名が就寝できるスペースを確保している。
レジストロ・クコは、普段使いのクルマでけん引できるため、初期費用を抑えられるのも大きな魅力。キャンプ場や自宅ではヘッド車と切り離して“離れ”のように使うことができ、幅広いユーザーニーズに応えてくれる。
【車両概要】
ブレーキ型式:慣性
総重量:480kg
全長×全幅×全高:3520mm×1720mm×2270mm
室内高:1690mm
就寝定員:3名
価格:239万8000円(税込)
ミニポップビー ポップアップルーフで大人でも立って歩ける快適な室内空間
軽トラックベースの軽キャンパー「ミニポップビー」は、長年愛され続けるロングセラーモデル。搭載するシェルは、運転席と行き来できるようにキャブとシェルを一体化させ使い勝手を高めている。
最大の特徴は、室内の快適性を高めるポップアップルーフだ。女性でも簡単に持ち上げることができるダンパーを標準装備し、ポップアップ後の室内高は650mmアップした1830mmで、大人でも立って歩くことができ、室内の開放感が飛躍的に向上する。
シートレイアウトは、コの字型と前向きシートを設定。ベッド展開するとフルフラットスペースとなり、バンクベッドと合わせて4名の就寝が可能だ。
ラインアップはノーマルモデルと幌やインテリアカラーを変更した特別仕様車の2タイプを設定。特別仕様車は、壁、床、家具を木目調とするレジストロテイストを採用し、ノーマルモデルとは違った魅力を持っている。
【車両概要】
ベース車両:ダイハツ・ハイゼットトラック、スズキ・キャリーKC
乗車定員/就寝人数:4名/4名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1980mm
価格:306万4000円~(税込)
J-キャビンH/HN ミスティック一押しのトラキャンモデル!
長年トラックキャンパー専門店として培ってきた技術を結集したモデルがトヨタ・ハイラックスにシェルを搭載する「J-キャビン」だ。同モデルはシンプル装備のHと充実装備のHNの2タイプを設定している。
内外装デザインを共有する両モデルは、ベース車両との自然な一体感を重視した専用シェルを搭載する。室内の快適性を維持しながら大きくなりすぎないように調整し、トラキャン特有の積んでいるイメージを払拭。そのスタイルにショーでは「かっこいい!」という声も多い。
室内は、対面式ダイネットソファを配置。フロアをベッド展開すると大人1名、子供2名が就寝でき、バンクベッドは1900mm×1770mmで大人3名でもゆったりと就寝できるスペースを確保している。
ショーでは、室内の使い勝手はもちろんだが、専用シェルとベース車両が一体となったスタイルの秀逸さにも注目して欲しい。
<スペック>
※シェルはトヨタ・ハイラックスに搭載することを前提とした専用設計
乗員定員/就寝人数:5名/5名
登録ナンバー:1
全長×全幅×全高:4320mm×1840mm×2130mm
価格:213万4000円~(税込)
アンセイエ ユーザーの声を元に年次改良を続けるフラッグシップモデル
ミスティックのラインナップで最大のボディサイズを持つキャブコン「アンセイエ」は、基本のレイアウトはそのままにユーザーの声を反映した年次改良を続け、使い勝手を高めた室内空間を追求している。
その室内レイアウトは、ダイネットスペース+リヤ常設2段ベッドに加え、マルチルームを備えたオーソドックススタイル。また、2列目シートは後ろ向きの対座、走行中は前向きに可変するREVOシートとし、就寝時はフロアベッドへの展開ももちろん可能。バンクベッドと合わせて7名の就寝ができ、大家族でも快適なクルマ旅がこなせるモデルだ。
【車両概要】
ベース車両:トヨタ・カムロード
乗員定員/就寝人数:7名/5名
登録ナンバー:8
全長×全幅×全高:4986mm×1980mm×3000mm
価格:スタンダート=674万8000円~(税込)
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