■走りはキックスのe-POWERの加速が光る!ヤリスクロスはボディ剛性の高さや安全装備で有利
続いて走りの比較ですが、キックスはやはりe-POWERのモーターのトルクが素晴らしいです。
1.2Lハイブリッドと言ってしまえば非力そうに思えますが、エンジンはあくまで発電専用なので、実際の走りはすべてモーターで行われます。それ故、ゼロからの発進加速はクラスを超えた力強さで思わず唸るほど素晴らしいです。
アクセルのワンペダルだけで減速から停止まで行える操作方法も無駄なく快適で、実に理にかなっています。
運転支援においても、プロパイロットが採用されたおかげで、全車速のアダプティブクルーズコントロールやレーンキープもバッチリ。
しかし残念なのはブラインドスポットモニターが無く、昨今必要とされている安全装備で欠けがあるのは惜しいです。
一方ヤリスクロスは、TNGAというトヨタの「もっと良いクルマづくり」の思想から生まれた新しいプラットフォームのボディ剛性が素晴らしく、輸入車のようなしっかりとした走りを見せてくれます。
また、1.5Lハイブリッドもモーターのトルク感だけでなく、ダイナミックフォースエンジンという熱効率の良いエンジンが組み合わされたことで、エンジンが始動してからも力強く加速してくれるのは、以前のハイブリッドよりもラバーバンド感が払拭されていて好印象。
ヤリスクロスにも全車速のレーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシストも採用されており、キックスにはないブラインドスポットモニターも装備されます。
細かいところですが、バックモニターや360°モニターの解像度もヤリスクロスのほうが綺麗です。
キックスの試乗動画はこちら↓
ヤリスクロスの試乗動画はこちら
■キックスとヤリスクロス、どちらを買うべきか?
内外装や走り、装備など各項目でキックスとヤリスクロスを比較してみましたが、どちらをおすすめするかと言われれば、私ならばヤリスクロスです。
キックスも日産が数年ぶりに出した新型車とは言え、海外では2016年から売られていたモデルのビッグマイナーチェンジ版。
化粧直しはしていますが、どこか新しさを感じない部分が散見しますし、単一グレードでFFのみという割り切りも感じます。
一方ヤリスクロスは、プラットフォームも最新のものを使い、タイ生産のキックスとは異なりもちろん国内生産となります。
さらにガソリンNAとハイブリッド、FFと4WDなど選択肢も豊富で、運転支援や安全装備もクラスを超えた最新のものが与えられており、キックスだけではなく輸入車コンパクトSUVをも凌ぐほどの気合の入ったモデルとなっています。
ただ、ヤリスクロスも後席の質感や居住性には割り切りを感じるので、そこを重視するのであれば、キックスをおすすめします。
キックスも電動パーキングブレーキやプロパイロットも採用され、ブラインドスポットモニター以外は現在求められる安全装備や運転支援はほぼ網羅しています。
e-POWERの走りの楽しさも併せ持つので、便利なコンパクトSUVとして使い勝手も良いと思います。ただ、「キックスでなくては」という最後のひと押しの魅力に欠けている気がしてならないのが惜しいです。
強豪ひしめくコンパクトSUV市場ですので、せめてあと2年デビューが早ければ、キックスも存在感を放っていたのではないでしょうか。
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[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、登録者数12万人、月間440万再生以上(2020年9月18日現在)のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、2か月に1台のペースでクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
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