トヨタ・ホンダ、災害時の電力確保を目的として移動式発電・給電システムを構築して電気を届ける実証実験を開始

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トヨタ自動車と本田技術研究所は8月31日、大容量水素を搭載する燃料電池バスと、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを組み合わせた移動式発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」を構築し、いつでも・どこでも電気を届ける実証実験を開始することを発表した。

 

両社は、近年において台風や豪雨などの災害により送電網がダメージを受け、家庭や避難所に電気が届かないという問題が発生している状況を受け、お互いの技術を持ち寄り、移動式発電・給電システムを構築して電気を届ける実証実験を実施すると述べた。移動式のシステムであるため、災害時には災害対応の一助として被災地で電力供給を行い、また平常時にもイベントなどで日常的な活用が可能な“フェーズフリー”のシステムで、今回の実証実験を通じてニーズや使い勝手を検証すると説明している。

 

移動式発電・給電システム「Moving e」は、トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION(チャージングステーション)」とHondaの可搬型外部給電器「Power Exporter(パワーエクスポーター)9000」、可搬型バッテリー「LiB-AID(リベイド)E500」・「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」、モバイルパワーパックの充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept(チャージアンドサプライ コンセプト)」で構成され、「CHARGING STATION」にすべての機材を積み込んで必要な場所へ移動して電気を供給する。具体的には燃料電池バスを電源とし、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを用いてバスから電気を取り出し、電気製品に電気を供給する。

 

 

 

トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION」は、従来型の「トヨタFCバス」をベースに、高圧水素タンクの本数を倍増させて水素搭載量を大幅に増やすことにより、高出力かつ大容量の発電能力(最高出力18kW、発電量454kWh)を備えており、災害などによる停電時には「Power Exporter 9000」を介して発電した電気を可搬型の大容量バッテリー「Honda Mobile Power Pack」や「LiB-AID E500」に貯めることで、避難所などの屋内や車内などで電気が使用可能となる。さらに「CHARGING STATION」には車内に仮眠が取れるスペースを作っており、災害発生時には休憩の場所としても活用することができる。

 

 

<実証実験概要>

◆開始時期: 2020年9月

◆派遣可能エリア: 燃料電池バス対応の水素ステーションより100km程度まで(目安)

◆電力供給量: 最大約490kWh(往復200km走行した場合 約240kWh)

◆移動式発電・給電システム「Moving e」の構成:    

  • 燃料電池バス「CHARGING STATION」1台
  • 外部給電器「Power Exporter 9000」2台
  • 可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」36個、「LiB-AID E500」20個
  • 充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」36台
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