トヨタ、クルマの衝突事故における人体傷害をコンピューター上で解析できるバーチャル人体モデル「THUMS」を無償で公開 -

トヨタは、安全なモビリティ社会の実現に向けた取り組みの一環として、クルマの衝突事故における人体傷害をコンピューター上で解析できるバーチャル人体モデルTHUMS（サムス： Total HUman Model for Safety）を2021年1月より無償で公開することを発表した。無償公開を通じて、より幅広いユーザーにTHUMSを活用してもらうことで、クルマの安全性能向上に貢献したいと述べている。なお、無償公開の開始に伴い、株式会社JSOLおよび日本イーエスアイ株式会社を通じて行ってきたTHUMSのライセンス販売は、2020年中に終了する。

トヨタは、バーチャル人体モデルTHUMSについて、車両の安全技術の研究や開発を目的に、2000年当時世界初となる車両衝突時の全身の傷害が再現・解析可能なバーチャル人体モデルとして、トヨタと株式会社豊田中央研究所が共同で開発。昨年公表した最新のVersion 6に至るまで、骨格・脳・内臓、筋肉を組み込む一方、性別・年齢・体格の異なる様々なモデルを追加するなど進化しており、衝突安全試験に広く利用されるダミー人形に比べ、人体の形状や強度を精密に再現しているため、衝突による傷害がより詳細に解析できることが特徴と説明している。また、コンピューター上でシミュレーションを行うため、様々な衝突パターンを模した解析を繰り返し行うことができ、衝突実験にかかる開発期間や開発費を大幅に抑えることが可能となると述べている。

THUMSは、100以上の国内・海外の自動車メーカーや部品メーカー、大学、研究機関などでクルマの安全研究に使用されており、シートベルトやエアバッグ、歩行者事故時の傷害を軽減する車両構造など、様々な安全技術の研究や開発に活用されているほか、自動車アセスメント機関による将来的なバーチャル安全性能評価試験の導入計画において、THUMSの活用が検討されている。

トヨタは、今回の無償公開によって、THUMSをより多くのクルマの安全研究に活用してもらうことが可能になるほか、ユーザー自身でTHUMSに改良を加え、その成果を他のユーザーと共有することで、利便性の向上が見込まれると述べた。