新型コロナウイルスの影響により、開催中止となったモナコグランプリ(モナコGP)。そのレース予定日であった5月24日に、同地モンテカルロでフェラーリとフランスの映画監督クロード・ルルーシュ氏との共同制作短編映画『Le Grand Rendez-vous(ル・グラン・ランデヴー)』の撮影が行われた。
この映画は、ルルーシュ監督が1976年に発表した短編映画『C’était Un Rendez-Vous(ランデヴー)』から着想を得ている作品。ランデヴーでは「フェラーリ・275 GTB」がエンジン音を轟かせて早朝のパリを疾走したが、今回はフェラーリ初の量産ハイブリッドモデル「フェラーリ・SF90ストラダーレ」が主役として登場。フェラーリのレーシングドライバー、シャルル・ルクレール氏がステアリングを握り、モナコの市街地コースで熱い走りを披露した。
道路を封鎖し、フルパワーを解放
撮影時には道路を封鎖したため、SF90ストラダーレは、総出力1,000 CV 、0-100 km/h加速2.5秒を誇るフルパワーを解放。映画のタイトルが示す謎の「ビッグ・デート」に向かう過程で、最高240 km/hもの速度に達した。
映画には、モナコ公国のアルベール2世公殿下もカメオ出演。さらに、フェラーリ会長ジョン・エルカン氏、モナコ公室のアンドレア・カシラギ氏、弟のピエール・カシラギ氏夫妻が撮影現場を訪れた。
また、フランスとモナコではロックダウンが徐々に緩和されており、地元当局の慎重な監督の下、熱狂的なファンがバルコニーや道路脇から撮影を見守った。
この短編映画『ル・グラン・ランデヴー』は、6月13日に公開される予定だ。
新しい日常、再出発へのメッセージ
今回の撮影についてフェラーリは、パンデミック後の「new normal(新しい日常)」に向けた歩みがこれから徐々に進展していくことを示すものであり、さまざまな制限によって大きな打撃を受けた映画産業にとっても再出発を象徴するメッセージになったと発信。
また、この映画におけるパートナーシップを、熱狂的なファン、フェラーリ・オーナー、サポーターに寄り添う気持ちを示すとともに、あらゆる人々の健康を脅している危機的状況を世界は少しずつでも克服していくことができるという希望を表現するものとしている。
フェラーリはこの数カ月間、医療施設への医療機器の提供、マラネッロ工場における人工呼吸器用バルブの生産、そして資金集めなど、様々な支援策を通して新型コロナウイルスとの闘いにも取り組んできた。最近では、新しい肺換気装置「FI5」を設計するにあたっての技術移転も表明。世界中で利用できるよう、この技術はオープンソースとして提供している。