タフトvsハスラー SUV市場をさらに盛り上げる存在に

コラム・特集

1月の東京オートサロン2020のダイハツブースでコンセプトモデルが公開され、大きな話題となった軽クロスオーバーSUV「タフト」がいよいよ発売間近となった。今回は、軽クロスオーバーSUVというジャンルを確立し、最大のライバルと目されるスズキ「ハスラー」とデザインやスペックを比較しながら、タフトの魅力を探ってみたい。

黒い前後フェンダーなどが力強さを表現するタフト

タフトは、昨年フルモデルチェンジされた「タント」とプラットフォームやエンジンを共有する「DNGA」第二弾のモデルだ。車名は「Tough&Almighty Fun Tool」というコンセプトの頭文字をから取られている。

ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mmで全長と全幅はハスラーと全く同じ。ハスラーより車高が50mm低いのが特徴だが、最低地上高は190mm(ハスラーは180mm)を確保し、軽の都会派クロスオーバーながら悪路や雪道での走行も視野に入れた高さを確保している。

デザインは、スクエアなフォルムに力強い黒の前後フェンダーや軽としては大径なアルミを組み合わせて、タフなイメージとギヤ感を強調。直線的なスタイルで、約20年前ほどに生産されていた「ネイキッド」を彷彿とさせる。かつてラインナップしていた「キャスト・アクティバ」はSUV風なデザインで中庸的であったが、タフトはSUVに振り切った武骨なデザインで、より男性ユーザーが好みそうな印象だ。

ボディカラーは全9色。道具感やアクティブ感を強調する一方で、ハスラーにあるピンクなどのパステル調カラーは非設定としている。

20年振りのフルモデルチェンジで新たなユーザーを獲得したジムニー

タフトがこういったデザインとなった背景には、初代ハスラーの大ヒットや、2018年20年振りにフルモデルチェンジされたスズキ・ジムニーの存在が一因にあるのではないだろうか。ジムニーは軽自動車ながら堅牢なラダーフレームと本格的な4WDを採用するモデルとして、仕事やアウトドアで山深い道を走る人や、熱狂的なファンに支持を集める〝男性のクルマ〟というイメージが強かった。

しかし、18年のフルモデルチェンジ以降では、丸目のヘッドライトにシンプルで角張ったデザインが女性から「可愛い」と評判を呼び、運転しやすいサイズと低価格という敷居の低さから新たなユーザーを獲得。納車が1年待ちと報道されたことも記憶に新しい。

これらを踏まえ、今年1月に発売された2台目ハスラーは初代の面影を残しながらも、先代と比べて丸みがなくなり直線的なデザインとなった。

▪️タフトには軽自動車初の装備も

インテリアはそれぞれに個性があり、ハスラーはインパネに配された三つのフレームが目を引く。タフトの注目は何と言っても、軽自動車で現在唯一の採用となるガラスルーフ「スカイフィールトップ」を全グレードに標準装備していることだ。ルーフは開閉しないが、シェードが付いていて日射しを避けることも可能で、今までにない開放感を実現している。

荷室には、床面の高さを2段階で調整できるデッキボードを用意。後席にはスライド調整機構は備わらないものの、防汚加工の施された分割可倒式の背もたれを倒し、デッキボードを上段に設定すれば、フラットな床面の広い積載スペースが得られる。一方、ハスラーには防汚加工のほかシートバックテーブル(一部グレード)や後席スライド機構などが備わっている。両モデルとも日常使いからアウトドアレジャーまで想定した使い勝手を実現しており、甲乙つけがたい高いレベルにある。

タフトのパワートレーンは、ターボとNAの2タイプを設定。ハスラーもタフトと同じく2タイプであるが、モーター機能付き発電機を使ったマイルドハイブリッドを搭載する。

安全装備は両車とも衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能といった一定水準の物を搭載しているが、タフトの上級グレードにはハイビーム走行時に対向車や先行車を検知し自動的に遮光して相手車両の眩惑を抑える「アダプティブドライビングビーム」を装備。さらに、車線に沿って操舵できるパワーステアリングの制御機能のほか、パーキングブレーキはダイハツ車初の電子式となるため、全車速追従型ACC(アダプティブクルーズコントロール)の停止保持機能の採用も期待される。

タフトにはダイハツ車初採用の電子式パーキングブレーキを採用

一方、ハスラーのサイドブレーキは足踏み式のためACCは2秒以上の停止保持ができない。ファーストカーとしてニーズや、高速を頻繁に利用するユーザーにとってタフトの充実した運転支援機能は魅力的だが、セカンドカーや街乗りメインであるならば、ハスラーに採用されている装備でも必要十分だ。

価格は現時点で正式なものは公表されていないが、同クラスの競合車であることから大きな価格差はないものと見られる。あとは実車が店舗に並んだら試乗や見学をしてみて、最適なモデルを選んで欲しい。タフトとハスラーの競合で、SUV市場はさらに盛り上がることになりそうだ。

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