アウトドアレジャー人気の高まりとともに、人気上昇中なのが「キャンピングカー」だ。家族揃ってのキャンプから、ペットを連れての旅、あるいは災害時の一時的なシェルター等々、その活躍の場は多い。
しかし、実際にキャンピングカーを購入しようとすると、その種類の多さにびっくりするだろう。乗用車選びと同様、キャンピングカーもまずどう使うかを決めてから車種を絞り込まないと、雲をつかむような話になってしまう。
というわけで、今回はキャンピングカーの各タイプを紹介しよう。
・キャンピングカーの種類が多いワケ
どんなキャンプをしたいか。家族みんなで行く、あるいは一人で行く。また近郊のキャンプ場に行く、いや長期に渡って遠征がしたいという人もいるだろう。さらに、日常は乗用車、レジャーの時だけキャンピングカー。それとも日常からレジャーまで1台でまかなうなど、人によってニーズはさまざま。というわけで、キャンピングカーに対するニーズは、普通の乗用車以上に幅が広いといえる。
こうした幅広いニーズに応えるべく、実に多くの種類のキャンピングカーが販売されているのだ。冒頭でも触れた通り、自分の使い方をきちんと把握しておかないといけないということだ。車体のサイズや装備が自分の使い方に合っていないと、かえって使いにくいクルマになってしまうことさえある。
もし1台で日常からレジャーまでカバーするのであれば、街中の駐車場に収まる寸法のモデルがいいし、レジャー時のみセカンドカーとして使うのであれば、駐車場が確保できるか確認しておきたい。
装備では、ベッドやキッチンはキャンピングカーの基本装備だが、果たしてトイレや冷蔵庫まで必要か?用途によって大きく変わってくるだろう。また注意したいのは、乗車定員と就寝定員が一致しない場合が少なくないこと。事前に確認しておきたいポイントだ。
・キャンピングカーの種類
では、具体的にキャンピングカーにはどんな種類があるのか見てみよう。
キャンピングカーとは、自動車のシャシーに居室部分(キャビン)を架装したものをいう。普通のワゴンやミニバンで車中泊を楽しむケースもあるが、これはあくまでキャンピングカーのように楽しめるクルマであって、ここでいうキャンピングカーには含まない。
<フルコン>
もっともキャンピングカーらしいものが「フルコンバージョン(フルコン)」と呼ばれるもの。このタイプは専用のベアシャシー(フレーム駆動系、エンジンなど)に、架装メーカーがキャンピングカー用に製造したボディを搭載したもの。フルオーダーメードも可能なので居住性に優れ、装備も充実している。
アメリカではこのフルコンが一般的なキャンピングカーだが、そこからもわかる通り、ボディサイズが大きく、日本の道路環境にマッチしたモデルが少ないのが難点。駐車できる場所も限られているので、国内での普及率はそれほど高くないのが実情である。
<キャブコン>
国内でキャンピングカーの主流となってきたのが「キャブコンバージョン(キャブコン)」だ。このタイプは専用のキャブ付きシャシーに架装メーカーが製造したキャビンを装着したもの。750kg~1トン積みトラックをベースにしたものが多く、外観もいかにもキャンピングカーらしいものが多い。
居住部分は完全にベース車とは別のユニットとなるため、ビルダーのオリジナル性が主張される部分でもある。全長5m×全幅2m程度の大型ワゴンとそれほど変わらないサイズの中に、ゆったりできる居住スペースを持っており、装備も充実しているので幅広い用途に対応できる。二人旅用からファミリーユースまで、各社が様々な車種をラインアップしている。
<バンコン>
キャブコンに代わり近年主流になっているのが「トラベルバンコンバージョン(バンコン)」だ。
このタイプはバン、ミニバン、ワゴンをベースに架装メーカーが改造したもの。1t積みクラスの1BOXバンの内部に架装をしたものが多い。外見からはキャンピングカーに見えないのだが、逆にその点が人気を集めている理由でもある。キャンピングカーに見えないから、日常でも使いやすいのだ。
キャンピングカーとして必要な装備を備えながらも、無理なく維持できるのは大きなメリットといえるだろう。また架装するのはベース車両の中だけだから、車検などの車両メンテナンスは近くのディーラーでも可能、というのも安心。最近は装備をよりシンプルにしたものや、コンパクトな車両をベースにしたものなど、バリエーションも増加中だ。
<バスコン>
バス、マイクロバスをベースにしたものが「バスコンバージョン(バスコン)」。トヨタ・コースター、日産・シビリアンなど、主にマイクロバスをベースに架装したものが主流だ。
バスの車体をそのまま使用したものと、後部をカットして居住空間に架装したものがある。居住空間の広さに加えて、人を乗せるために製造されたバス、マイクロバスがベース車両のため、乗り心地に優れているのも大きなメリット。ただし、特に後部を改造したものは高価になるのが難点といえる。
<トラベルトレーラー>
乗用車などクルマに牽引されて移動するタイプが「トラベルトレーラー」だ。
ヨーロッパで主流なのが、このタイプ。トレーラー自体にエンジンが付いていないので、比較的安価なモデルが多いのも特徴。また乗用車を日常の足として使用しつつ、レジャーに行く時だけにトレーラーを牽引することでキャンピングカーとして利用できるのは大きなポイントといえるだろう。さらに目的地に着いた後はトレーラーを切り離し、乗用車だけで移動できるのもメリットだ。
牽引の場合、別に免許が必要なのでは?と思われるかもしれないが、総重量750kg以下なら牽引免許も不要で、国内でも徐々に増えつつある。
<軽キャンパー>
軽自動車をベースにキャンピングカーに仕立てたもので、日本独自のキャンピングカーともいえる。
構造的にはバンコンタイプとキャブコンタイプがあるが、いずれも人気が高い。なにより価格が安く、維持費も安く、取り回しもいいといった点が人気の理由だ。ファミリーで使えるほどの広さは期待できないが、二人で使用するには十分な広さを持っているモデルも多い。まずはここからキャンピングカーの世界に入ってみるのもいいだろう。
・後悔しないキャンピングカー選び
というわけで各タイプのキャンピングカーをざっと紹介したが、その選択で留意したいのが、キャンピングカーと乗用車のモデル選びでは大きく異なる点があるということだ。
それは、乗用車の場合「走っている時」の性能が重視されるのに対し、キャンピングカーの場合は「止まっている時」の性能(=使い勝手)が重視されるからだ。
キャンピングカーのスペック表には「就寝定員」という項目がある。あまり聞きなれない言葉だが、これは文字通りこのクルマの中で何人が寝られるかを表したものだ。乗車定員とイコールではないことに注意したい。4人家族なのに、就寝定員が2名のモデルを選んでしまっては都合が悪い。
このように、キャンピングカー選びで一番重視しなければならないのが、住まい選び同様「間取り(=室内レイアウト)」なのである。逆に言えば、架装メーカーにとって腕の見せ所がここでもある。
限られたスペースの中で快適に過ごせるように、各社とも室内レイアウトには工夫をしており、一見、どれも同じように見えるキャンピングカーの室内レイアウトは様々。10モデルあれば10通りのレイアウト(個性)があるといってもいい。
装備についても同様で、同じ大きさのクルマであっても、トイレの有無や冷蔵庫の大きさに違いがある。豪華で快適な装備を充実させるには、広い居住空間の大型モデルが欲しくなるが、クルマが大きくなれば重くなり、走りにも影響するし、駐車スペースが制約されるという問題も出てくる。このように相反する要素が多いのもキャンピングカー選びの特徴であり、難しいところでもある。
とはいえ、最初のうちはどのタイプのキャンピングカーが自分に合っているのか分からないのも当然ともいえる。また乗用車と異なり販売店が近くに複数あるというケースも少ない。
そこで活用したいのが、多数のキャンピングカーが一堂に集結するキャンピングカーショーである。実車を見ながら説明を受けたり、実際に乗り込んで試すことができるのも、キャンピングカーショーならでは。多数のモデルを同時に比較検討できるまたとない機会なのだ。またキャンピングカーショーでは入門者向けのセミナーなどが行われることも多い。ぜひ足を運んでみよう。