今季のFIA世界ラリー選手権(WRC)を戦い終えた、トヨタガズーレーシング ワールドラリーチーム(TGR WRT)のメンバーが11月20日、トヨタ自動車東京本社を訪れ“シーズンエンド取材会”が行われた。それぞれ2019年シーズンを振り返るとともに、チームを率いたトミ・マキネン代表に花束が、ドライバーチャンピオンを獲得したオィット・タナック選手に記念品が贈られた。
今季のWRCは全14戦の予定だったが、最終戦オーストラリアがキャンセルになり全13戦での開催され、このうちトヨタは優勝6回、2位3回、3位3回。特に第10戦・ドイツは1~3位と表彰台独占を成し遂げた。
マキネン代表は「3年目とはいえ多くの学びがあった。また、いろいろなトラブルも経験した。どのラリーでもスピードが上がり、ステージでの勝率も上がった。その結果、タナック組の新しいチャンピオンを生み出せた」と今季を振り返った。
TMG・青木徳生WRCエンジンプロジェクトマネージャーは「ドライバーがいかにクルマをコントロールできるか、エンジンは単にパワーがあるだけでなく、ドライバーとクルマの一体感が一番重要だと思う。フィンランドで新スペックを投入しそれが成績にも表れた」と、エンジン開発手法に自信を深めたようだ。
ラトバラ選手は「私自身には残念な年でしたが、シリーズチャンピオン獲得やドイツでの1~3位独占など、ヤリスWRCは十分なパフォーマンスがあった」。また、今季新加入のミーク選手は「子供のころ強かったトヨタのWRCマシンを自分で運転できうれしかった。シーズン前半は技術的な問題、後半は私自身のミスも重なり望んでいた結果が得られたとは思っていない」と語った。
ドライバーチャンピオンを獲得したタナック選手は「何より夢がかなった。困難なキャリアを経てこうしてチャンピオンになれたのは非常にうれしい。トヨタ、マキネンのとてもいいチームでタイトルを獲得でき非常にうれしい」と戴冠の喜びを語った。
トヨタ自動車・GR統括部モータースポーツ推進室・市川正明室長は「過去2年オーバーヒートに苦しめられたメキシコでは、冷却系の改善により今年は表彰台に立つことができた。第4戦・フランスでは全車パンクに見舞われたが、様々な設計変更がドイツでの1~3位独占につながった」と、カイゼンの積み重ねが今季の成績につながったと説明。また、来季の最終戦は日本(愛知・岐阜県)で開催され「本社に近い開催地で祝杯を挙げたい」と、ドライバー、コ・ドライバー、マニュファクチャラーズの3冠制覇を誓った。