マツダ・中国電力・明電舎が、EV駆動用バッテリーのリユース技術を活用したバーチャルパワープラント実証試験の共同研究契約を締結

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マツダ、中国電力、明電舎は、電気自動車(EV)の駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電池システムの構築、およびこれを活用したバーチャルパワープラント(VPP)実証試験に共同で取り組むことを決定し、共同研究契約を締結したことを発表した。

 

VPPは、一般家庭や工場などが保有する再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)、EV、蓄電池等の多数の分散型電源を束ねて、1つの発電所のように統合・制御するもので、送配電事業者の需給調整など、電力システムに関する様々なサービスへの展開が期待されている。

 

 

上記実証試験では、EVの駆動用バッテリーをVPPのリソースとしてリユースする可能性を検証するため、複数の駆動用バッテリーを統合制御するシステムを構築し、再エネを含む分散型電源などと組み合わせて制御することで、応答性、蓄電池の劣化特性などを評価することにより、再エネの最大限活用、需給バランス制御などに繋がる制御技術の獲得を目指す。具体的には、太陽光発電、EV、電気温水器等を統合制御する実証を行っている、中国電力エネルギア総合研究所(広島県東広島市)に、新たなリソースとしてEVの駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電池システムを設置して、実証試験を行う。

 

 

マツダは、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づき、Well-to-Wheel(燃料採掘から車両走行まで)でのCO2削減の観点と自動車の原料調達・製造・使用・リサイクル・廃棄までの各段階を通して環境への影響を考慮するライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から、環境負荷低減に取り組んでいる。EVの駆動用バッテリーをリユースした定置型蓄電池の活用を通じて、地産地消型の再エネ利用拡大を推進していくとしている。

 

中国電力は、持続的な成長を図っていくために、電気事業のイノベーションと地域の課題解決を柱に、新たな収益基盤づくりの取り組みを推進しており、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(VPPなどを活用して、再エネの最大限活用、需給バランス制御などの各種サービスを提供するビジネス)など、多様なニーズに応えることができる付加価値の高いサービス提供に向けて、様々なリソースを活用した取り組みを推進していくと述べた。

 

明電舎は、重電メーカーとして、定置型蓄電システム用の電力変換装置を多数供給しており、電力品質の安定化や需要家の停電対策などでノウハウを培ってきており、今後、大きく変化していく社会インフラ市場とエネルギー市場を見据え、社会や地域のニーズに応えるための製品・技術とサービスの開発を推進していくとしている。

 

マツダ、中国電力および明電舎は、各社が保有する技術の強みを活かして、EVの駆動用バッテリーの二次利用を拡大していくことで、電池のサプライチェーンを通じた資源循環を果たしつつ、再エネの利用拡大を図っていき、その取り組みにより、クルマとエネルギーの融合から派生する新たなサービスに繋がる技術を獲得し、地球環境および地域への貢献に取り組んでいくと述べている。

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