トヨタ、AIエージェントや自動運転機能を搭載した「LQ」を東京モーターショー2019に出展

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トヨタは、人工知能や自動運転など、人に寄り添う新しいテクノロジーにより「新しい時代の愛車」を具現化したコンセプトカー「LQ」を公表した。「LQ」は、2017年1月の2017International CESに出展した、「TOYOTA Concept-愛i」で表現した未来の愛車体験コンセプトを忠実に実現しており、米国で人工知能や自動運転・ロボティクスなどの研究開発を行うToyota Research Instituteと共同開発したAIエージェントや自動運転機能を搭載している。

 

「クルマと人」「クルマと社会」の新しい関係を提案するコンセプトカーとして、10月24日(木)から11月4日(月・休)までの12日間、東京モーターショー2019のMEGA WEB会場で開催される「FUTURE EXPO」に出展する。

 

また、2020年6月から9月に、AIエージェント「YUI」を搭載した「LQ」の試乗会「トヨタYUIプロジェクトTOURS 2020」を実施予定で、事前に公開されるスマートフォンアプリから趣味・嗜好を「YUI」に教えることで、ひとりひとりに最適化した「YUI」が搭載された「LQ」に試乗することができる。

 

 

トヨタは、モビリティカンパニーとして、あらゆるカスタマーに移動の自由を提供することを目指しており、移動には、文字通りの移動だけではなく、心の移動(感動)も含まれており、「移動そのものが感動をもたらすものであってほしい」「クルマは“愛”がつく工業製品であり続けてほしい」と考えている。「LQ」の開発にあたって、“Learn, Grow, Love”をテーマに、カスタマー一人一人の嗜好や状態に合わせた移動体験の提供を通じて、時間とともにより愛着を感じてもらえるモビリティを目指したと述べた。「LQ」という車名には、新しい時代の愛車(Beloved Car)を提案するきっかけ(Q/Cue)になればとの想いが込められている。

 

開発責任者の井戸 大介氏は、「遠く離れた場所に連れて行ってくれて、特別な体験をさせてくれるクルマは、かつて『愛車』と呼ばれていました。技術革新やライフスタイルの変化に伴い、お客様のニーズや感動のきっかけが多様化する中、モビリティエキスパートであるAIエージェント『YUI』によって、1人1人のニーズに合わせた特別な移動体験を提供できれば、新しい時代でもクルマは『愛車』であり続けると考えています」と語った。

 

【「トヨタYUIプロジェクトTOURS 2020」概要】

  • 期間 : 2020年6月~9月(予定)
  • 場所 : 東京都 MEGAWEB及びお台場・豊洲周辺の公道
  • 応募方法 : 詳細は今後特設サイトに掲載予定
  • 特設サイト : https://toyota-yuiproject.com/

 

<モビリティエキスパート AIエージェント「YUI」>

AIエージェント「YUI」は、モビリティエキスパートとしてカスタマー一人一人に寄り添い、特別な移動体験を提供することを目的に開発された。「YUI」は、常にカスタマーの表情や動作から感情や眠気などの状態を推定し、会話を中心としたコミュニケーションに加えて、覚醒・リラックス誘導機能付きシート・音楽・車内イルミネーション・空調・フレグランスなどの各種HMI(Human Machine Interface)を用いて働きかけ、安全・安心・快適な移動に貢献する。また、シーンや嗜好に応じた音楽の選曲・再生や、興味のある話題や施設情報を提供することで移動自体を楽しむことをサポートする。

 

今回、「YUI」の開発およびサービス向上のため、下記企業が協力しており、将来は、カスタマーのスマートフォンなど、クルマ以外の端末や他のサービスとの連携を進めることで、サポートする領域をより拡大していくことを目指す。

  • 株式会社JTB:カスタマーの嗜好に適した施設案内情報やドライブルートの提供
  • AWA株式会社:クルマの状況やカスタマーの嗜好に適したストリーミング音楽の提供
  • 株式会社NTTドコモ:試乗拠点に5G基地局を設置し、高速かつ安定した通信環境の提供

 

<「安全・安心」、「快適な」移動体験に関わる技術>

 

①自動運転

自動運転(SAEレベル4相当)機能を搭載している。

 

②無人自動バレーパーキングシステム ※パナソニックと共同開発

駐車場において、乗降場と駐車スペース間で無人自動運転ができるシステムで、駐車スペースを探す必要がなくなり、高齢者、身体の不自由な人、妊娠中や乳幼児を連れた人など、アクセシビリティに配慮が必要な方に加えて、駐車が苦手な方の負担を軽減する。また、隣接する車両と20cm間隔で駐車できるため、駐車場の省スペース化に貢献する。

 

車両に搭載した複数のカメラ・ソナー・レーダーに加えて、2次元路面マップを用いて車両の現在位置を特定するシステム、駐車場に設置したカメラ、自動バレー駐車を指示する管制センターを連携させ、駐車場内での入庫と出庫を無人で行う。車両のセンサーと駐車場のカメラが自動運転経路への他の車両や歩行者の進入を監視しており、他の車両や歩行者を検知した場合は自動で停車する。

 

③AR-HUD ※パナソニックと共同開発

AR(Augmented Reality)表示ができるHUD(Head Up Display)によってHUDの情報表示エリアを拡大し、ドライバーの視線移動を低減することで安全運転を支援する。ウインドシールド越しに見える風景に、注意喚起情報(車線、標識など)や経路案内などの運転をサポートする情報を立体的にわかりやすく表示させることが可能なほか、車両前方7m~41mの奥行を持つ(230インチ相当)大画面表示によって、ドライバーの視線移動を低減する。

 

④覚醒・リラックス誘導機能付きシート(世界初) ※トヨタ紡織株式会社と共同開発

ドライバーの状態に合わせて、シートに内蔵した複数のエアブラダー(空気袋)や空調機能によって、覚醒やリラックスをサポートし、運転に適した状態の維持に貢献する。ドライバーが眠気を感じている場合は、シートバック内のエアブラダーを膨らませることで背伸びのような姿勢をサポートするとともに、シート空調の冷風刺激によって、ドライバーの覚醒を促す。一方、自動運転モードなどドライバーがリラックスできるときは、シートバック内のエアブラダーを徐々にゆっくりと膨張・収縮させ腹式呼吸をサポートすることで、より深いリラックスを誘導する。

 

<その他の先進装備・技術>

 

①新しいHMI機能

これまで車両と乗員が情報をやり取りする接点ではなかった車両のルーフやフロアマットをHMI領域として活用し、乗員に直感的でわかりやすく情報を伝えられる。ルーフやフロアマットの中にイルミネーション機能を搭載することで、自動運転モードと手動運転モードで異なるカラーを点灯させたり、「YUI」が話しかけている乗員のフロアマットを発光させたりすることが可能。

 

 

また、ヘッドランプに内蔵された100万個の微小なミラーの切り替えによって、複雑な図形や文字を路面に描画することができるDMD(Digital Micromirror Device)式ヘッドライトによって、ドライバーに路面状況を知らせたり、車内外のコミュニケーションが可能となる。

 

 

②有機ELメーター(トヨタ初)

メーターにトヨタ初となる有機EL(Emitting Diode)ディスプレイを採用した。高い視認性を確保しながら、ディスプレイを大きく曲げることで先進的なインパネ造形を際立たせている。

 

③大気浄化塗料 ※アイシン化工株式会社、株式会社キャタラーと共同開発

オゾンを酸素に分解する新開発触媒塗料をラジエーターファンに塗布することで、車両走行時に、光化学スモッグの原因となる地表付近のオゾン(対流圏オゾン)を分解する。“走れば走るほど、空気がきれいになるクルマ”(マイナスエミッション技術)として期待しており、今後は市販車両への搭載を検討している。

 

<デザイン>

車両デザインは、キャビンを前に出した未来的シルエットとし、車両中央にある「YUI」を起点に車両内外をシームレスに連続させる「INSIDE OUT」をデザインテーマとして採用した。内装では、エアコンの吹き出し口を乗員から見えない場所に配置するインビジブルレジスタを採用することで、インパネ周辺の凹凸が少ないシンプルな造形となっている。また、センターコンソールは、トポロジー最適化という設計手法と3Dプリンター工法の組み合わせにより、強度確保と意匠に分かれていた構造を一体化し、カスタマーから見える支持構造体を減らすことで、先進的な車内空間の実現に貢献している。外装では、ドアの下部もガラス面とすることで、ドア部分と車内空間がシームレスにつながり、より洗練された造形となっている。

 

【「LQ」主要諸元】

  • 全長/全幅/全高:4,530mm/1,840mm/1,480mm
  • ホイールベース:2,700mm
  • 乗車定員:4人
  • パワートレーン:EV
  • 車両重量:1,680kg
  • 航続距離:300km程度
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