■手離し運転はどこまで実用的か?日産スカイラインで試乗実験
「はいどうもワンソクtubeです!」でお馴染みの(?)、クルマ買うチューバーことワンダー速報&ワンソクtube管理人のドラヨスです。
今回は、BMW M850iと日産スカイラインの試乗対決の後編として、前回のM850iに続いて、2019年7月にビッグマイナーチェンジを果たした新型スカイラインをレポートします。
試乗させていただいたのは、スカイラインの上位グレード、GT Type SP(HYBRID)。車両本体価格は616万円(10%消費税込)と、国産車としてはかなり高額な部類に入ります。
新型スカイラインのハイブリッドモデルにのみ、「プロパイロット2.0」というハンズオフの手離し運転が実装されていますが、BMW M850iと比較してその性能はどうなのでしょうか。
■エクステリアは小規模な化粧直しに留まる
現行のV37型と呼ばれるスカイラインの登場は2014年、それから5年の時を経て、2019年7月に大幅なマイナーチェンジが行われました。一番の目玉は、上述の通りハイブリッドモデルに搭載された「プロパイロット2.0」ですが、それ以外にもエクステリアの化粧直しなども行われています。
外観上の大きな変更点は、Vモーショングリルと呼ばれる、Vの字をモチーフにした新世代日産のデザインを導入した点です。
2014年のデビュー当時は、インフィニティのバッヂが与えられ、名前こそスカイラインと日本では名乗っていたものの、北米のインフィニティQ50のイメージが色濃いデザインとなっていました。それが日産スカイラインへの回帰として、伝統の丸目4灯のリアコンビネーションランプも復活させてマイナーチェンジが行われました。
ただし、外観の印象はV37スカイラインそのままで、グリルが変わったくらいの印象しかありません。そこはマイナーチェンジゆえ仕方のないところかもしれませんが、もう少しVモーショングリルがしっくり来るデザインにリファインされても良かったとは思います。
■内装の質感は良いけれど、さすがに古さを感じる部分も…
内装においても、2014年発売当時からほぼ変わりはない印象です。それでも質感面では不足を感じるところも少なく、たっぷりとした合成皮革で覆われたドアトリムや、7インチのマルチインフォメーションディスプレイが搭載されたメーターなどは、現在の国産車と比較しても劣る部分はありません。
さらに、今回のマイナーチェンジの目玉として、プロパイロット2.0を搭載するハイブリッドモデルにのみ、電動パーキングブレーキとブレーキオートホールドが備わりました。やはりこの価格帯の高級セダンとしては、電動パーキングブレーキが採用されていないのでは商品力としては見劣りしてしまう部分なので、この変更は嬉しいですね。残念なのは、ハイブリッド以外のモデルでは足踏み式のままということ。せっかくなら全てのグレードで採用して欲しかったところです。
元々の質感の高さと、電動パーキングブレーキの採用で、国産車では一線級の内装となった新型スカイラインですが、ナビ画面の大きさや解像度、バックモニターの写りの悪さなどは、やや古さを感じてしまうところです。
■新型スカイラインの走りはパワフル!
続いて走りをチェックしますが、私は普段トヨタやレクサスなどのハイブリッド車をよく乗っていますが、日産のハイブリッドシステムもいいですね!これは素直に感動です。
3.5L V6エンジンと、リチウムイオンバッテリーを搭載したハイブリッドシステムはシステム最高出力364psものハイパワーとトルクを誇り、全領域で心地よい加速感を味わうことができました。
エンジンルームからの遮音性も良く、高速域でも積極的にEV走行出来るモーターの力強さは、トヨタのRX450hやGS450hに搭載されている3.5Lハイブリッドにも負けていないどころか、それよりもパワフルに感じました。
一方で、動的質感の面ではステアフィールだけが気になりました。というのも、このV37スカイラインはステアリング・バイ・ワイヤと言って機械的にステアリングと車軸を繋いでいるのではなく、電子的に制御されたステアリングとなっています。そのため、路面からの不快なキックバックなどはカットされているのですが、ロードインフォメーションが希薄で、特に低速から中速域ではステアリングが軽く、中立付近の遊びはないのに少し切っただけでもノーズが向きを変えてしまうので、常にギュッとステアリングホイールを握っていなければならないような印象がありました。
ただ、車速が上がり70km/h以上の速度域になってくればその印象は薄まり、ステアフィールもどっしりとしたものになっていました。車速感応式になっているのだと思いますが、低速~中速域でももっとどっしりとしたステアフィールのほうが好ましいと感じました。
■いざハンズオフ!日産スカイラインの自動運転は?
首都高湾岸線を走っていた際に、ハンズオフを試す条件が整ったので、実際にプロパイロット2.0を試してみました。
前回お届けしたM850iで試したハンズオフでは、規定された高速道路+60km/h以下という厳しい条件がありましたが、日産のプロパイロット2.0でもハンズオフをする条件は厳しく定められています。
まずは、搭載されるナビのMAPで、3D高精度地図データがある道路に限定されます。これは前回のM850iでも首都高や外環道など限られた道路でのみの使用条件と似ています。
さらに、中央分離帯があること、そして制限速度内であること、トンネル内ではないこと、が条件となります。
BMWのハンズオフでは60km/h以下であることなど、渋滞中くらいしか使い道がなかったハンズオフですが、日産のプロパイロット2.0では制限速度内ということで、標識読み取り機能で認識された速度+10km/hくらいまでは許容してくれるようです。
実際に使ってみた感想ですが、60km/h以下という縛りはないので、渋滞中じゃなくてもハンズオフでのアダプティブクルーズコントロールはしてくれますが、車速が上がってくると周囲のクルマと制限速度がマッチしなくなる状況もあります。
そうなってくると煽られるリスクや、料金所の手前でかなり早いタイミングで40km/h指定が出てくると、追突される危険性も出てきます。
それゆえ、実際問題ハンズオフできるのは、やはり渋滞追従中に限られてくるな、というのが率直な感想です。図らずも、BMWの60km/h以下と同じような条件下が一番ハンズオフしやすいです。
また、BMWと異なる点としては、トンネル内がハンズオフできないこと。これはGPSと高精度地図がリンクできなくなるからだそうで、その際にはハンズオフが解除されます。
ハンズオフ中も、しっかりとドライバーモニタリングシステムで監視されているので、ちょっとでも視線を逸らすと警告が出て、そのまま視線をそらし続けるとキャンセルされます。なので、視線は前を見つつ、手は膝の上、みたいな手持ち無沙汰になるので、これなら大人しく普通にアダプティブクルーズコントロールでステアリングを握っているほうが自然かもと思えてきました(笑)
ただ、自分の手も足もを動かさずにクルマが勝手に走っていく様は、まさに思い描いていたような未来そのものなので、そういった感動はあります。
BMWとの比較で気になる点としては、自車位置の制御はBMWのほうが優れていると感じました。メーター内に表示される自車を含めた周囲のクルマのモニタリングの正確さと緻密さがBMWのほうが優れているからです。
スカイラインでも自車と周囲のクルマはマルチインフォメーションディスプレイ内にモニタリングされて表示されますが、BMWのほうが白線の右寄りにいるか中央にいるか左寄りにいるかまで把握して表示されて自車位置を制御しているのがわかるので、安心感が高かったです。
スカイラインの7インチのマルチインフォメーションディスプレイーの中でそれをやるには少し表示エリアが窮屈なので、そこは国産車全てに言えることですが、フル液晶メーターの採用など、さらなるブレイクスルーが必要だなと感じました。
スカイラインも、M850iも、ハンズオフの使用条件は限られた高速道路のみであったり速度制限などもありますが、まずはそれを市販車に実装してきたことに拍手を贈りたいですね。まだまだこれからの技術だと思いますが、日本の法制度の中で実装まで漕ぎ着けるには並大抵の苦労ではなかったと思います。
日産やBMW以外のメーカーもこれに続けと開発も進んでいくと思いますので、そのパイオニアとしての実績は高く評価したいですね。
そして、渋滞中では手離し足離しも可能となって、従来のクルーズコントロールよりもさらにドライバーの疲労は軽減できるはずです。
これからのさらなる自動運転技術の発展に期待したいですね。
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[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
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