ホンダの軽ハイトワゴン「N-WGN」が初のフルモデルチェンジを実施。2代目となった新型車は、プラットフォームやエンジンの一新で加速・燃費性能の向上が図られるとともに、普通車の上級モデルにも匹敵する先進安全装備「ホンダセンシング」も標準装備され、全方位で大きく進化を遂げたモデルとなった。
グレードは先代と同じく大きく分けてN-WGNとカスタムの2種類だが、“New Simple!”をテーマに開発されたこともあり、デザインの方向性を大きく変更。N-WGNは親しみやすさの中にレトロな雰囲気をまとい、カスタムはメッキエリアが大きいコワモテ顔ではなく、クールな印象が与えられている。キープコンセプトだったN-BOXのモデルチェンジとは対象的なものとなっている。
エンジンは標準/カスタムともNAとターボを設定。まずはNAモデルに試乗してみるが、アクセル開度が低い時のエンジン音が低く抑えられており、街乗りの速度域での静粛性も良好。走り出しからの加速では非力さを感じるが、スピードが乗ればそこまでのストレスは感じない。高速での本線合流時、追越時、坂道等の一時的な加速ではエンジンが唸りがちになるが、時速80㎞巡航で2500回転、100㎞巡航でも3000回転前後で推移し、NAでも必要十分な動力・加速性能を実現している。
一方で、ターボの走りは想像以上にパワフル。N-BOXのターボと同じく2600回転で104Nmの最大トルクを発揮するが、N-WGNのボディの方が軽量であることから、発進からもたつきを感じさせない。中高速域での加速レスポンスも良く、高速での合流や再加速もスムーズ。リニアでトルクのある走りは、リッターカーに乗っていると言って差し支えないレベルに仕上がっていた。
また、ACCは全車速に対応。今回ターボモデルに試乗して新東名高速を走ったが、時速100kmにセットした追従走行時ももたつかず加速し、追いついた時の減速制御も不自然さが無かった。レーンキープは車線の中央をしっかりとトレースするが、日産のプロパイロットほどステアリングがシステムによって操作され、車線を保持しているという制御感は少なく、操作感覚や運転支援の介入の仕方も含めて安心感のあるものになっていた。
■ファーストカーとしての素養も高い
乗り心地は、フロントにスタビライザーを標準装備し、曲がりはじめのロールは抑えられ安定感もある。ハイト系特有の腰高感は極めて少なく、ハンドリングも素直でしっかりとしているのは好印象だ。
カスタムのターボ(FFのみ)にはリヤにもスタビライザーが装着され、硬質な乗り心地が想像されたが、路面のショックを必要以上に拾うこともなく、より安定感のある走りを実現していた。
また、運転席・助手席のシートは厚み・長さともたっぷりとあるのでクッション性が高く、体が包み込まれているような感覚でとても軽自動車のシートとは思えないほど。柔らかいシートながら運転姿勢が崩れることもないので、長距離を運転しても疲れをほとんど感じることがなかったのは特筆すべき点に挙げられる。
室内はスーパーハイト系には劣るが、十分に広く開放的。頭上空間もかなりのゆとりがあり、後席の足元スペースは登録車のコンパクトモデルを凌駕する広さが確保されている。さらに、ボードを使って荷室を2段収納できるので、積載の自由度が高く使い勝手が良いことも新型の特徴だ。
フルモデルチェンジによって大きく魅力を高めたN-WGN。複数台所有のセカンドカーや日常の足としてならNA、高速も利用し、ファーストカーとしての利用も視野に入る方にはターボモデルの購入をおすすめしたい。
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