日本精工(以下、NSK)は、公益社団法人精密工学会より2019年度(第39回)精密工学会技術賞を受賞したことを発表した。今回の受賞は、荷重条件や速度条件が厳しい環境で使われるボールねじの信頼性を高める技術を開発したことが評価された。
受賞テーマは、「高残留オーステナイト材料を用いた長寿命・高負荷駆動用ボールねじの開発」で、NSKでは、高負荷駆動用ボールねじを商品化し、電動射出成形機やプレス機などに採用されている。近年、電動射出成形機では生産性向上や成形部品の多様化が求められており、生産性向上では送り速度の高速化による「ハイサイクル化」によってボールねじの長寿命化を、成形部品の多様化ではボールねじの耐荷重性能の向上が望まれている。
今回、ボールねじ材料の残留オーステナイト量と硬さをコントロールすることで、従来比で2.2倍の長寿命化と1.2倍の耐荷重性能の向上を実現した。これにより、荷重条件や速度条件がますます厳しくなる中、電動射出成形機やサーボプレス機の信頼性向上に貢献し、更にはボールねじのダウンサイジングも期待できる。今回開発した技術を適用した製品は、長寿命・高負荷駆動用ボールねじ 「S-HTFシリーズ」となる。
NSKは、世界トップレベルの技術力によって、今後も安全で快適、環境にやさしい社会の実現に大きく貢献していくと述べている。