■1000万クラスのフラッグシップSUV「アウディQ8」試乗レポート!
「はいどうもワンソクtubeです!」でお馴染みの(?)、クルマ買うチューバーことワンダー速報&ワンソクtube管理人のドラヨスです。
今回試乗させていただいたのは、2019年8月にブランニューでデビューした、アウディのフラッグシップSUV、「Q8」です。私自身、レクサスRXやUX、ボルボXC40やRAV4など、SUVを乗り継いでいるSUVオタクですので、他メーカーのクルマに比べてアウディQ8のドコが魅力なのかレポートします。
■アウディQ8、価格は1,000万オーバー
試乗車はAudi Q8 55 TFSI quattro debut package S lineという、初期限定の特別仕様車です。車両本体価格は992万円(8%消費税込み)となっていますが、オプションで装着されているS lineが110万円、マトリクスLEDヘッドライトや安全装備、4輪操舵のオールホイールステアリングなどがセットになったコンフォートアシスタンスパッケージが72万円なので、メタリックカラーの9万円を含めると試乗車の合計価格は1,183万円(8%消費税込み)となります。諸経費などを含めると、1,300万円に近い価格になると思われます。
アウディでは、フラッグシップクラスでも、安全装備までもがオプション扱いになっており、絶対に付けなければならないので、車両本体価格よりもコミコミ価格は100万円程度高くなってしまう印象です。
その点、メルセデスベンツのGLEでは1,000万円クラスの価格帯ながら、安全装備なども標準装備として車両本体価格に含まれるので、明朗会計で価格にも納得感があります。それと比較すると、アウディでは安全装備やナビなどまでオプション扱いの車種も多く、割高な印象となっている印象です。特に、今回のQ8クラスのフラッグシップモデルなら全て標準装備でも良いのではと思います。
■大型のクーペSUVスタイルは素直にカッコイイと思える!
それでは試乗車のQ8 55 TFSI quattro debut package S lineのエクステリアを見てみましょう。まず見た目の第一印象としては「デカイ!」ということ。それもそのはず、Q8のボディサイズは全長4,995mm×全幅1,995mm×全高1,690mmと、ほぼ5mの全長に2mの全幅と実際に巨大です。しかし、全高は1,690mmに抑えられているので、ワイド&ロー感が強く、ライバルのフラッグシップSUVであるレクサスLXやメルセデスベンツGLSなどに比べると低くてカッコイイ印象があります。Q8は3列シートも持たないので、それらの実質的なライバルはアウディQ7になると思いますが、その分Q8は割り切ってスポーティなデザインに振った分、わかりやすいカッコよさがあります。
フロント部分では、アウディのデザインアイデンティティでもあるシングルフレームグリルが大きく口を開け、破線状に光るポジションランプ兼デイライト兼ターンシグナルランプが特徴的。グリル内部は格子パターンになっていて、他のアウディ車とも印象が異なります。
サイドから見ると、低いルーフがボディを伸びやかに見せており、それほど大きな車には見えないのですが、実際に目の辺りにすると戦車のような迫力があります。タイヤサイズは22インチとLサイズSUVにふさわしい大口径となっており、見た目の迫力も十分。
リアビューでは左右を貫いたリアコンビネーションランプが特徴的で、施錠解錠の際にはアニメーションパターンで光るなどの演出もあります。ただ、リアビューで不満なのは、他のアウディ車でも同様ですが、バンパー一体型に見せるダミーのマフラーデザインです。メルセデスでも同様のダミーマフラーのデザインが主流になっていますが、個人的には機能を持たないデザインは好きではありません。さらにこのQ8では、そのダミーマフラー周りも無塗装素地となっており、質感的にもあまり見栄えは良くありません。
■内装の質感はA8未満
続いて内装を見てみると、インテリアデザインに関しては、昨今のアウディの文法に則ったものが踏襲されています。
12.3インチのデジタル液晶メーターであるバーチャルコックピットや、触った時にカチッという反力があるタッチレスポンスの付いた10.1インチのナビ画面とその下にある8.6インチのエアコン操作ディスプレイも、2018年にデビューしたA7と同様のデザインとなっています。
細かな違いこそありますが、A6・A7・A8ともデザインが統一されているので、代わり映えはしない印象があります。そして、使われている素材ですが、A7と同等の印象はありますが、A8には遠く及ばないと感じました。
特にドアトリム周りは1,000万円超のクラスとしては質感不足で、アッパートリムや肘置き部分もステッチなしのソフトパッド、スイッチ台座周りもプラスチッキーで、カーテシランプも無く反射板のみなどコストダウンとも見れる部分も散見し、GLEやX5を見た後では質感演出に乏しい印象です。
GLEやX5では当然用意があったシートベンチレーションも、Q8ではS lineを付けると装備不可など、このクラスの価格帯としては絶対必要と思える装備なので付けられないのはかなり痛いです。また、GLEやX5ではあったカップホルダーの温冷機能も無し。フラッグシップを求める層では、この手の快適装備は「全部入り」が理想だと思われるので、見劣りする装備や質感面が販売に響かないことを祈ります。
Q8の内外装インプレッションはYouTubeでも配信しておりますので、併せてご覧ください。
■アウディは乗らなきゃ良さはわからない。
内装や装備面では辛口に評価したQ8ですが、走らせてみるとやはりアウディならではの良さがあります。
出足の発進加速こそ、重さを感じる重厚な滑り出しとなりますが、3.0L V6のTFSIエンジンと8速のティプトロニックトランスミッション(トルコン式8速AT)は2.2トンを超える巨体をスルスルと加速させていきます。
この重厚感とメカニカルな緻密さがうまく調律された走り味は、アウディならではの世界観があり、BMWやメルセデスの良さとはまた別の良さがあります。同じフォルクスワーゲングループでも、フォルクスワーゲンとも違ったさらに濃厚さを感じるドライブフィールは、文字で表すのはなかなか困難なのでぜひ試乗して確かめて欲しいですね。
BMWは回す楽しさや軽快感の中にもどっしりとしたステアフィールが魅力ですが、アウディはダウンサイジングターボとトランスミッションのマッチングが重厚感を演出しており、Q2からQ8に至るまでその重厚感が貫かれています。
Q8もやや重めとも思えるステアフィールですが、個人的には重いほうが好みなので良いのですが、女性が取り回すにはちょっとボディの大きさも相まって大変だと思います。ただ、ドライブモードでステアフィールも軽く設定できますし、こちらの試乗車にはオールホイールステアリングが装備されているので、最小回転半径も5.6mまで切れるようになるので、これならば16インチタイヤを履いたトヨタシエンタの5.8mを下回る小回り性となります。これは驚き。19インチを履いたRAV4も5.9m(17インチでも5.7m)とそれらよりも小回りが利く巨大SUVというのもすごいですよね。
さらに、こちらの試乗車ではエアサスペンションも装着されているので、ドライブモードをSPORTに設定すれば車高が低くなり、オールロードに設定すると車高が上がるなどの機能もあります。組み合わされるアウディお得意のクワトロシステム(AWD)は、Q5やA7の電子制御式のクワトロとは異なる伝統の機械式となっており、その辺りはコストの掛かるメカが搭載されています。現在では機械式のクワトロが搭載されるのもQ7やA8、そしてこのQ8くらいとなりました。
全開加速を試してみると、初速こそ重さゆえの慣性が働いて背中を蹴っ飛ばされるような加速感とはいかないですが、それ以降はスムーズに伸びていくので過不足はないどころか十分速いほうだと思います。
ただ、A8の60のようなスムーズでシルキーな回転フィールと踏めば暴力的に速いと言う感じではありませんので、絶対的な速さを求めるならA8の60のほうがおすすめかもしれません。
Q8の試乗インプレッションはYouTubeでも配信しておりますので、併せてご覧ください。
一方で、クーペスタイルのSUVという唯一無二の価値がこのQ8にはあるので、かつてQ5が売れたころのアウディのような、若々しくアクティブに乗り回すライフスタイルには向いているクルマになっているのではないかと思いました。
オシャレでセンス良いアウディの復権なるか、アウディQ8を試してみてはいかがでしょうか。
このほか、ワンダー速報の記事はこちらから
[ドラヨス]
月間100万PVのブログ「ワンダー速報」と、月間100万再生以上のYouTubeチャンネル「ワンソクtube」の管理人。
クルマ買うチューバーを自称し、年に何台もクルマを購入してレビューするスタイルが好評。
ワンダー速報:https://wansoku.com/