最近になって、SUVの新商品戦略がますます多極化の様相を呈している。
これまでは、主に乗用車との中間に位置するクロスオーバータイプを中心に、軽自動車からラグジュアリークラスまでのフルライン化が進展拡大してきた。この路線はまだまだ続く方向にある。最近では、クロスオーバータイプの他、従来存在したラフロード4WDタイプが復活する動きがある。こちらもフルラインアップまではまだまだ拡大の余地がある。
さらに従来のミニバン、ハッチバック、軽自動車のハイトワゴン、スーパースペースワゴンの中にも、SUVテイストのモデルを投入する動きもある。SUV人気の広がりにあやかった展開のひとつであり、いずれも新規設定して売り出すと多くは好評である。
今後はこれらも、フルラインアップの時が来るかも知れない。モータージャーナリズムのカテゴリー分けが、一段と難しくなるかも知れない。
技術的な動きにも注目したい。パワーユニットは自然吸気(NA)のガソリンはじめダウンサイジングターボ、クリーンディーゼル、ハイブリッド、プラグインハイブリッドなどと多極化している。
NAガソリンは、直噴など新世代ユニットの開発も進んでいる。ダウンサイジングターボは、50%の出力アップ分排気量を引き下げることで、燃費の改良や自動車税の引き下げに対応させている。
クリーンディーゼルは、高トルク特性からSUVには向いている特質がある。トヨタ、マツダ、三菱自動車の3社が搭載車を発売しているが、今後は日産など他社も参画する可能性がある。ハイブリッドはプラグイン、フルハイブリッド、マイルドハイブリッドなど様々のシステムが実用化している。
遠藤徹プロフィール
専門分野はマーケット分析、商品戦略、販売戦略、執筆先:ベストカー、ドライバー、ザ・マイカー、カーアンドレジャー、その他週刊誌など。単行本執筆は約20冊