流麗かつタフ ボルボ・V60 Cross Country試乗記

試乗レポート

SUVの積載性の高さや優れた悪路走破性は魅力だが、ステーションワゴンの走行性能や日常の利便性は捨てがたい。そんな声に応えるべくボルボがラインアップしているのが、SUVとステーションワゴンの長所を併せ持つCross Country(クロスカントリー)である。

その最新版となるのが、ボルボV60 Cross Countryだ。ボルボの主力ステーションワゴンであるV60をベースにしたクロスオーバーモデルで、足回りを変更し最低地上高をV60より65mm高めて210mmとすることで悪路走破性を高めたことを大きな特徴としている。

 

今回日本に導入されたのは、ガソリンの2Lターボエンジン「T5」を搭載するモデル。装備によってグレードは2種類あるが、駆動方式は全車AWDを採用している。ベースのV60でAWD車なのは上級のプラグインハイブリッド仕様だけなので、新型V60シリーズではこのクロスカントリーがガソリンモデル初のAWD車ということになる。雪国のボルボユーザー、あるいはウィンタースポーツに行く機会の多いユーザーには待望のモデルといえる。

今回は箱根を中心に試乗したが、実際に走行してみるとカッチリとした硬質な乗り心地のV60に比べ、ラフロードでの走行も考慮したV60クロスカントリーはややマイルドな印象だ。結果的に乗り心地としてはV60クロスカントリーの方が優しく、同乗者からの満足度はこちらの方が高そうである。

ステアリングへの反応も適度に緩やかになるので、長距離ドライブにも向いている。またアイポイントが若干高くなり、視界が広いのもメリットだ。高い視点に慣れたSUVから乗り換えるユーザーにも受け入れられやすい。

最高出力254psを発揮するT5エンジンを搭載しているため、パワーは高速域でも十分。低速域から高速域まで滑らかにスムーズな加速をみせる。ターボエンジンだが、一定の回転域から急激にパワーが立ち上がるというタイプではなく、下から直線状にパワーが出てくるタイプなので、コントロールしやすいのも特徴だ。激しい加速に一瞬の快感を求めるのではなく、日常の中で心地よさを感じるキャラクターといえる。

室内空間や安全装備はV60と同等。つまり使い勝手や万が一への備えはV60と同じである。したがってV60の購入を検討しているユーザーにも、アウトドアに行く行かないは別にして、同時にV60CCを乗り比べて欲しい。オンロード派でも乗り心地重視のユーザーなら、必ずや気に入ってもらえるはずだ。(鞍智誉章)

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