「有山勝利の視軸」75歳以上の運転者による死亡事故が多い

コラム・特集

筆者が卒業した大学の学科のクラス会が、今年も桜の時季に合わせて開催された。81歳から85歳までの10人が出席し、他用と重なり不参加だった人が2名とか。45人のクラスだったから、生存率は高い方だろう。杖を突く人、後ろから声をかけてもすぐには振り向けない人と様々だ。

近況報告の中で一人が、信号のある交差点で信号に合わせて横断歩道を渡っていたところ、後ろから来た右折車にコートを引っかけられ、うつ伏せに倒れたという。良い塩梅にけがはなかったが、耳が片方全く聞こえないので参ってしまう、と話したところ、すかさず最近は横断歩道があっても、信号があっても安全だとは限らないんだという声が出た。

警察庁の集計によれば、2018年中に75歳になり運転免許証更新時に認知機能検査を受けた高齢者が事故を起こしたのは、前年比29人増の414人で、そのうちの49・2%が認知症の恐れがあるか、認知機能低下の恐れがある人と判定されていた。

全414人のうち、第一分類は20人(4・8%)で、3人は免許証自主返納もしくは失効していた。第二分類は184人(44・4%)、認知機能低下の恐れなしとされたのは210人(50・7%)であり、担当者は認知機能と死亡事故には何らかの結びつきがあると考えられるといっている。

昨年1年間で、免許更新時や交通違反をした場合に認知機能検査を受けたのは216万5349人で、そのうち第一分類は5万4786人(2・5%)、第二分類は53万1057人(24・5%)であった。

これは昨年75歳以上の運転者が、交通死亡事故の過失の最も重い第一当事者となったのが460人で、そのうち事故前に検査を受けた414人について分析したものである。

一昨年3月施行の改正道交法で、75歳以上の運転者に対する認知機能検査が強化されており、警察庁設置の有識者分科会では、車種や地域等を絞った「限定条件付き免許」の導入も検討している。

間もなく新学期が始まり、小学生の登下校時の交通事故も気になるものだ。特に新1年生の事故が多いことがわかっており、老若の安全交通に気をつけたいものである。

有山勝利プロフィール

1937年生まれ。1960年に総合輸入車ディーラーに入社、そのまま定年まで殆ど広報作業に従事、依頼により1966年より、ブリヂストン・タイヤニュース、週刊大衆に連載執筆、筆名に有川 浩を使用、月刊自家用車、報知新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン、ディリースポーツ、マイカー情報(札幌)、くるまにあ にも連載、単発は無数。媒体側と広報担当の双方と交友、互助の功を上げた。

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